米税関、IEEPA関税還付に関する新たなシステムを45日以内に導入見込みと表明
(米国)
ニューヨーク発
2026年03月09日
米国税関・国境警備局(CBP)は3月6日、国際貿易裁判所(CIT)がCBPに対して関税清算時に国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税を考慮しないよう求め、事実上還付を命じた(注)のに対して、件数の多さなどから現実的ではないとする宣誓書を提出した。一方で、CBPはIEEPA関税の還付に向け、45日以内に新たなシステムを導入する見込みだと明らかにした。これを受けて、CITは還付を考慮しないとする命令の「即時実施は求めない」との命令を下した。
宣誓書は、CBPにおいて関税措置の実施を含め、歳入の執行・保護の取り組みを統括している貿易プログラム部エグゼクティブ・ディレクターのブランドン・ロード氏が提出した。宣誓書によれば、3月4日時点で、33万566者の輸入者が5,317万3,939件のIEEPA関税に関する輸入申告を行っており、IEEPA関税の徴収額は1,660億ドルにのぼる。このうち、未清算は約2,010万件で、宣誓書では、「前例のない規模の還付に直面している」と状況を説明している。関税の還付については、CBPが運用する電子通関システム(ACE)において、IEEPA関税と他の関税を自動的に区別できず、CBP職員による手動計算が必要になるという。また、CBPは法律で義務付けられている利息を支払わなければならないが、これも手動計算が必要になるケースがあるという。さらに、CBPは2月6日以降、関税還付を原則として電子化しているが(2026年1月8日記事参照)、電子還付プログラムへの登録手続きを完了した輸入者は2万1,423者のみで、CBPは手続きを完了していない2,897者の輸入者に対する7,700件の返金を処理できていないとも述べた。こうした状況から、宣誓書では、CBP職員をIEEPA関税還付処理に専従させ、休暇なしで従事させることは現実的ではない上、他の業務にも支障をきたすと主張した。
一方で宣誓書では、IEEPA関税の返還可能性に備え、輸入申告ごとではなく輸入者ごとに還付を行う効率的なプロセスを開発してきたことも明らかにした。今後、45日以内(4月20日まで)に利用可能になるよう見込んでおり、追ってガイダンスを発行予定だという。新たなプロセスの概要は次のとおり。
- 輸入者は、IEEPA関税を支払った申告書のリストをACEに提出する。
- ACEは各輸入申告を検証し、IEEPA関税を除いた納付すべき関税額(適用される利息を含む)を自動計算する。
- CBPは申告書を検証し、可能な限り速やかに還付処理をする。
- ACEは輸入申告を自動的に最終処理(清算または再清算)する。
- ACEが輸入者別・清算日別に還付額と利息を自動集計する。
- CBPが還付を認証する。
- 財務省が電子的にIEEPA関税を還付する。
CITはCBPの宣誓書を受けて3月6日に、関税清算時にIEEPA関税を考慮しないとする命令について、「即時実施は求めない」との命令を下した。
CBPが開発している新たなプロセスについて、サンドラー・トラビス&ローゼンバーグ法律事務所のレニー・フェルドマン氏は、「輸入者にとって負担にはならない」と評価した(米通商専門誌「インサイドUSトレード」3月6日)。また米国商工会議所は3月6日、「還付を受け取るために訴訟を起こさなければならない何十万もの中小企業を救うことができる」との声明
を発表した。ただし、フェルドマン氏は、還付額の計算がCBPと輸入者とで異なる場合にどのような証憑(しょうひょう)が求められるかが懸念材料になり得る、訴訟を起こした企業が優先的に処理されるかどうかが不明、と指摘している。
(注)米国では、輸入者が輸入時に納入する関税は推定関税となっており、CBPはその後、通常314日以内に確定関税を通知する。ここで推定関税と差異があれば、この差額分が徴収もしくは還付される。これを関税清算という。また、輸入者などは関税清算後でも、180日以内であればCBPに対して異議申し立てを行うことができ、これが認められれば、再清算となる。全ての清算が終了することで、最終確定となる。CITは3月4日、CBPに対して、関税清算時に「IEEPA関税を考慮しない」よう命じたため、事実上、IEEPA関税の輸入者への還付を命じていた(2026年3月5日記事参照)。
(赤平大寿)
(米国)
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