米中間選挙のテキサス州予備選が示した共和党内の対立と民主党の世代交代

(米国)

ヒューストン発

2026年03月06日

2026年3月3日に実施された米国テキサス州における予備選挙は、2026年11月の中間選挙における最初の試金石として注目され、国内外から関心が寄せられた。同日に州内では連邦上院議員選や州知事選の予備選をはじめ、多数の連邦下院議員選挙区予備選や州議会選が実施され、選挙結果はトランプ政権2期目の政策や指導力への評価を占う重要な指標となった。

連邦上院議員選は、共和党では、現職のジョン・コーニン氏と州司法長官のケン・パクストン氏が接戦を繰り広げ、決選投票に進む結果となった。民主党では、州下院議員のジェームズ・タラリコ氏が53%を獲得し、勝利した。

州知事・副知事選は、共和党では、現職のグレッグ・アボット知事が約82%、同じく現職のダン・パトリック副知事が約85%という圧倒的得票で勝利し、党内での強固な支持基盤をあらためて示した。民主党では、州下院議員のジーナ・ヒノホサ氏が約59%を獲得して勝利し、次世代のリーダーとしての存在感を示した。

これらの結果から、共和党内では、主流派と強硬派が競り合う構図が鮮明になった。民主党では、タラリコ氏やヒノホサ氏の台頭が、党内での世代交代や都市部を中心とした支持層の変化を示唆する。

連邦下院議員の予備選では、いずれの党においても複数の選挙区において決選投票が必要となる接戦がみられた。

民主党の第18区は、クリスチャン・メネフィー氏が1月31日の特別選挙に勝利して連邦下院議員へ就任したが(2026年2月4日記事参照)、新区画を適用して行われた今回の予備選では46%を得票したものの過半数に届かず、ア​​ル・グリーン現職議員との決選投票に進む。

2024年11月の連邦上院議員選に初挑戦し、現職のテッド・クルーズ氏(共和党)に敗れたコリン・オールレッド氏(民主党)は今回、連邦下院議員選第33区に立候補した。民主党予備選で46%獲得するも、決選投票へ進む結果となった。

一方、共和党の第2区は、州下院議員のスティーブ・トース氏が現職ダン・クレンショー氏を破り、保守強硬派・トランプ政権推進派(注)の勢いが注目を集めた。

総じて、今回のテキサス州予備選は、共和党内の路線対立、民主党の世代交代、選挙区画変更による影響が交錯する、極めて示唆的な選挙となった。決選投票は5月26日に行われる。

テキサス州では2025年に、共和党優位の州議会主導により選挙区画変更が行われ、2026年11月の下院選では共和党の5議席増が見込まれる。新区画は今回の予備選から適用された。連邦下院第18区は、アフリカ系住民の比率が高いヒューストン中心部を含む、長年にわたる強固な民主党地盤だが、新区画により民主党の現職同士が競合することとなった。また、第33区は、大都市ダラス郡を中心とする強固な民主党地盤で、前回の大統領選ではカマラ・ハリス前副大統領が30ポイント以上の差で勝利した。ダラスとフォートワースの2都市にわたる混合型の区割りから、ダラス郡内に閉じた区画に変更となり、旧第32区から約3分の1の住民を取り込んで、民主党支持層が濃縮された区画となった。

新区画について、連邦地方裁判所は「人種差別的ゲリマンダー」と指摘したが、米連邦最高裁判所はその判断を覆し、同区割り変更を暫定容認している(2025年12月10日記事参照)。

(注)スティーブ・トース氏はフリーダム・コーカスPAC(全米で最も右派・保守強硬派とされる議員連盟の政治資金団体)や テッド・クルーズ上院議員の支援を受けている。

(キリアン知佳)

(米国)

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