米最高裁がテキサス州で共和党有利の選挙区画改変を認める判決、中間選挙に影響

(米国)

ヒューストン発

2025年12月10日

米連邦最高裁判所は12月4日、共和党が多数派を占めるテキサス州議会が策定した新しい連邦下院選挙区画割りを暫定的に認める判断を下した。現行の最高裁判事は保守派が多数で6対3の判決だった。テキサス州西部地区連邦地方裁判所(下級審)は「人種差別的な選挙区画操作」であるとして地図を無効とする判決を下していたが、最高裁は「立法府の善意を前提とすべき」とし、また「選挙直前の差し止めによる混乱を避けるため」として判決を覆した。

テキサス州の新区画により、2026年11月の中間選挙では共和党が連邦下院において最大5議席を追加獲得する可能性が高まる。米国では「ゲリマンダー(注)」と呼ばれる選挙区操作が問題視されているが、区画変更が人種差別に基づくと判断された場合のみ違法となる判例がある。今回、最高裁が指摘した「立法府の善意の推定(presumption of legislative good faith)」とは、立法府が行った区割りや法律はまず「善意に基づいて行われた」と推定されるという考え方で、今回の判決は、下級審がそれを尊重せずに確たる証拠なく「人種差別的」と結論付けたのは誤りと判断された。

テキサス州の選挙区画変更の動きを受けて、カリフォルニア州では、民主党優位となる新しい選挙区画が提案され、11月の住民投票(Preposition 50)において賛成64.4%、反対35.6%で、承認された。同州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は、同州の新選挙区画は、テキサス州の共和党が獲得し得る議席を相殺するものだと語っている(CBSニュース11月20日)。

その他、ミズーリ州、ノースカロライナ州などでも選挙区画変更が既に承認されている。

(注)ゲリマンダーとは、選挙区の区割りを特定の政党や候補者に有利になるよう不自然に操作する行為で、語源は1812年のマサチューセッツ州知事エルブリッジ・ゲリーが行った区割りに由来。当時の報道が新区画の奇妙な形を「サラマンダー(とかげのような幻獣))」に例え、「ゲリー(Gerry)」と組み合わせて「ゲリマンダー(Gerrymander)」と呼んだのが始まり。

(キリアン知佳)

(米国)

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