英エネルギー相、石油備蓄の協調放出を発表
(英国)
ロンドン発
2026年03月16日
英国政府は3月11日、英国を含む国際エネルギー機関(IEA)加盟32カ国での過去最大となる合計4億バレルの石油備蓄を協調放出に合意したと発表
した(2026年3月12日記事参照)。IEAは今回の協調放出について、米国とイスラエルが2月28日にイランへの攻撃を開始して以降、中東情勢が急速に悪化し、世界的な原油供給が混乱するなかで実施される緊急措置としている。
海上輸送される石油の約25%が通過するホルムズ海峡の通航が停止状態となっており、世界のエネルギー供給に深刻な影響を及ぼしている。
英国は現在、総計7,660万バレルの石油備蓄を保有しており、うち1,350万バレルを今回の協調放出に拠出する。IEA加盟国およびアソシエーション国は、世界のエネルギー消費の80%を占めている。加盟国には、世界的な供給混乱に備え、自国の石油輸入量の90日分を備蓄することが義務付けられている。
英国の石油備蓄は、主要な供給事業者が国内各地の自社施設で保有している。過去30年間で4回石油備蓄の協調放出に協力し、IEA加盟国の消費量に占める英国の割合に基づき放出量全体の約4%を拠出している。
エド・ミリバンド・エネルギー安全保障・ネットゼロ相は、英国が多様なエネルギー源を確保している点に触れつつ、政府が実施している家庭用エネルギー料金上限制度(2026年3月4日記事参照)が2026年7月まで家計の負担軽減に重要な役割を果たしていると述べた。同制度では四半期ごとに上限額を設定しており、現在は4月1日~6月30日分までの上限額が発表されている。
同時に、家庭や企業を長期的に守るためには、世界の化石燃料市場への依存度を下げ、国産のクリーンエネルギーへ転換する必要性を強調した。
英国政府は今回の協調放出を原油市場の安定化に向けた重要な一歩と位置付けているが、根本的な解決にはホルムズ海峡でのタンカー航行の安全確保が不可欠との見解を示している。
(植松麗良)
(英国)
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