アルジェリア、湾岸諸国への攻撃を非難、イランとの距離を示す
(アルジェリア、イラン、米国、イスラエル、アラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビア、バーレーン、クウェート、オマーン)
調査部中東アフリカ課
2026年03月05日
アルジェリアは、2月28日のイスラエルおよび米国によるイランに対する攻撃などを受け、湾岸諸国を対象とするミサイル攻撃を強く非難する声明を発表した(3月1日付外務省コミュニケ
)。
アブデルマジド・テブン大統領の指示により、アフマド・アッターフ外務・在外自国民コミュニティ・アフリカ相は3月1日、外務省本部において、現在の緊張の高まりの中で軍事攻撃を受けた湾岸諸国の大使らを迎え、「軍事攻撃を受けた兄弟アラブ諸国に対するアルジェリアの全面的な連帯」を表明した。アルジェリアのアラブ諸国との外交関係は近年、一様ではなく、アラブ首長国連邦(UAE)など一部の国とは関係が難しい局面もあった。しかし今回は、「これらの友好国の国家主権や領土の一体性、そして国民の安全を損なういかなる行為も、アルジェリアは断固として拒否する」と述べ、湾岸諸国に対して一定の友好的な姿勢を強調した。
一方、同相は、「あらゆる形態のエスカレーションを即時に停止し、対話と自制を優先する」というアルジェリアの立場を再確認し、これまで良好な関係を維持してきたイランから距離を置く姿勢を示した。アルジェリア政府は、イスラエルと米国による攻撃について、明確な評価を避けている。米国政権への配慮との見方もあるが、実際の理由は不明だ。また、その結果として生じた、イランの最高指導者およびマフムード・アフマディーネジャード元大統領の殺害についても、非難や遺憾を表明していない。この姿勢は、2025年6月のイラン・イスラエル間の短期戦争の際に、アルジェリアがイスラエルの攻撃を強く批判していた当時の立場と大きく異なる(2025年6月19日記事参照)。
こうした外交的な慎重姿勢の背景には、地域情勢の緊迫化がアルジェリアの経済的利害に一定の影響を及ぼす可能性を、アルジェリアが見極めているからだとされている。中東情勢の悪化により、世界最大規模の液化天然ガス(LNG)プラントを持つカタールが生産を停止したことで、欧州の天然ガス市場は急速に不安定化した。欧州の指標であるオランダTTFハブの天然ガス先物価格は3月2日の取引で最大45%上昇し、1メガワット時当たり約46ユーロに達した。英国の指標であるNBP価格も、欧州市場と連動して大幅に上昇した(3月2日付ユーロ・ニュース)。
現在、シェールガスの開発に向けて、米国石油メジャーのシェブロンやエクソンモービルと交渉を進めているアルジェリアの国営エネルギー企業ソナトラック(2026年1月21日付地域・分析レポート参照)は主にスペインとイタリアにガスを供給しており、両国の需要の約3割、欧州全体では天然ガスの14.6%、LNGの7.7%を占める(2月12日付フランス24報道)。今回の価格高騰は、同国にとって追い風となる可能性がある。
(中東アフリカ課)
(アルジェリア、イラン、米国、イスラエル、アラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビア、バーレーン、クウェート、オマーン)
ビジネス短信 a399246c8b1bc672






閉じる