イスラエル・イラン情勢に関するアルジェリアの反応
(アルジェリア、イスラエル、イラン、中東)
調査部中東アフリカ課
2025年06月19日
イスラエルは6月13日、イランの核施設などへの攻撃を行い(2025年6月13日記事参照)、イランは同日、イスラエルへの反撃を行った。その後も攻撃の応酬が続いている。
そのような中、アルジェリア政府系通信機関である国営アルジェリア通信(APS)は6月13日、イスラエルによる核施設への先制攻撃に関して、「シオニスト政権(注)がイランに攻撃を開始、テヘランで大きな爆発音」と報じた。APSは、主に核施設が攻撃され、同先制攻撃はイランの核兵器開発が差し迫った脅威に対する自衛のための反応であるとのイスラエルの主張について報じていない。また、APSは同日以降、イラン側の軍関係者、民間人などの殺害、イラン政府の発言内容などについて報道を継続したが、イスラエル側の発言、被害や犠牲者数などについては発表していない。
現在、国連安全保障理事会の非常任理事国となっているアルジェリアのアマル・ベンジャマ国連常駐代表は6月13日、今回の軍事衝突を受け、安全保障理事会の緊急会合で演説を行った。同代表は同演説の中で、イスラエルの攻撃は「正当化できない。根拠のない行為であるだけでなく、国際法と国連憲章の明白な違反である」と強調し、国際社会に対し、「違反行為」に対応するよう求めた。
一方、アルジェリア政府はエジプト、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)を含む20のアラブ諸国およびイスラム諸国とともに、6月16日付の共同声明を通じて、イスラエルの対イラン攻撃の停止と交渉路線への復帰の必要性を強調した。また、例外なく中東地域すべての国に適用される、非核兵器地帯および非大量破壊兵器地帯の緊急創設の必要性をアピールした。
(注)シオニズムは、19世紀にユダヤ人の中で起こった、かつて王国があったパレスチナの地に戻り国をつくろうという運動を指す言葉として用いられる。アルジェリア政府はイスラエル国家の存在を認めていない国(アフガニスタン、北朝鮮、キューバ、複数のアラブ諸国など合計約30カ国)の1つとして、イラン政府と同様、「イスラエル」の代替表現として「シオニスト政権」を使用している。
(中東アフリカ課)
(アルジェリア、イスラエル、イラン、中東)
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