職住一体型のAI共創新拠点、2028年完成へ

(シンガポール)

シンガポール発

2026年03月11日

シンガポールの産業施設の開発・運営を担う政府機関JTCは3月2日、人工知能(AI)関連の新たな共創拠点となるAIパーク「カンポンAI(注1)」について、国内初のスタートアップ向けの職住一体型施設となると発表した。同施設は2028年に完成する予定だ。

カンポンAIは、JTCが運営するスタートアップ向けの専門施設「ローンチパッド@ワン・ノース」に隣接する既存施設を改修し、整備される。施設は2棟で構成される。1棟はAIブロック(総床面積1万4,500平方メートル)で、最大70社が入居でき、イベントスペースも設けられる。もう1棟は約200戸の住宅施設となる予定だ。

次世代産業が集積するワン・ノース地区にあるローンチパッドは、2015年にスタートアップ向け専門施設として発足した。これまでに2,400社以上のスタートアップが入居し、30以上のアクセラレーターやベンチャーキャピタルなどが拠点を置く国内最大級の起業家集積区だ。JTCによると、カンポンAIのパイロット段階として、2026年3月からローンチパッドの既存施設内でAI関連企業や起業家が活動を開始する予定だ。

ローレンス・ウォン首相兼財務相は2月12日の2026年度予算案に関する演説の中で、AIパークを設置する方針を明らかにしていた(2026年2月18日記事参照)。ガン・キムヨン副首相兼貿易産業相は3月2日の国会で、AIパークについて「課題を抱える企業やAIの専門人材、研究者や資源が集まり、相乗効果を生み出すことで、深いエコシステムを育む拠点とする」と述べた。3月2日付のストレーツ・タイムズ紙によると、ソフトバンクロボティクス(本社:東京都港区)、地場ロボティクス開発会社ウェストン・ロボットなどが入居に関心を示しているという。

高度人材ビザ、AI専門家も対象に

また、政府はAI人材の誘致を強化する。タン・シーレン人材相は3月3日の国会で、外国人の高度人材向け就労査証「海外ネットワーク・技能(ONE)パス」の対象に、2027年1月から、AIやテック分野の高度人材を追加すると発表した。既存の高度テック人材向けの就労査証「テックパス(注2)」を、ONEパスに統合する。ONEパスは、月給3万シンガポール・ドル(約369万円、Sドル、1Sドル=約123円)以上、または芸術や科学技術分野などで卓越した実績を持つ外国人を対象に、2023年から導入されている(2022年9月2日記事参照)。

(注1)カンポンとはマレー語で「村」を意味し、企業や研究者などが近接して、協同するコミュニティーを意図して、用いている。

(注2)テックパスは経済開発庁(EDB)が管轄するテック分野の経営者や起業家を対象とした就労査証。対象となるのは、過去1年の月給が2万2,500Sドル以上の外国人。

(本田智津絵)

(シンガポール)

ビジネス短信 85fd12d20f070ed3