国家AI評議会を設置、先端製造や金融、物流、医療の重点4分野で実装へ

(シンガポール)

シンガポール発

2026年02月18日

シンガポールのローレンス・ウォン首相兼財務相は2月12日、2026年度(2026年4月~2027年3月)政府予算案において、人工知能(AI)を活用して国内経済の変革を図る「国家AIミッション」を立ち上げることを発表した。ウォン首相兼財務相を議長とする国家AI評議会を設置し、(1)先端製造、(2)空港や港湾を含むコネクティビティー、(3)金融、(4)医療の重点4分野でAIの実装を推進する方針を示した。

今回の予算案では、企業によるAI導入支援および個人のAIスキル向上支援が焦点の1つとなった。同国は1月29日に発表した経済戦略の見直しにおいて、7つの戦略の1つとして、AI先進国としての地位確立を掲げていた(2026年2月6日記事参照)。ウォン首相兼財務相は演説で、「AIはシンガポールにとって戦略的な強みとなる。限られた天然資源、急速な高齢化、労働力不足といった構造的制約を克服する助けとなる」と述べた。

企業向けの支援として、「AIチャンピオン・プログラム」を新設する。同プログラムでは、AIを活用してビジネスを包括的に変革する意欲的な企業に対し、個別支援を行う。また、企業の研究開発(R&D)に係る適格支出を対象とする税控除制度「エンタープライズ・イノベーション・スキーム(EIS)」については、2027~2028年賦課年度からAI関連支出を新たに対象に追加する。各賦課年度につき、適格支出の最大5万シンガポール・ドル(約605万円、Sドル、1Sドル=約121円)を控除できる。

さらに、デジタル関連ソリューションの導入を支援する補助金制度「生産性ソリューション補助金(PSG)」についても、AI関連ソリューションを対象に含める。加えて、AI関連の起業家や研究者、企業などが集まる共創拠点「AIパーク」を、次世代産業が集積するワン・ノース地区に設置する予定だ。

このほか、労働者向けのAI技能習得を支援するため、政府の生涯教育支援サイト「マイ・スキルズ・フューチャー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に掲載された指定のAI研修コースを受講する国民に対し、有料のAIツールを6カ月間無償で提供する。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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