米・イスラエルの対イラン軍事行動から1カ月経過、衝突拡大とともに国際的な影響は経済・物流面にも

(イスラエル、米国、イラン、レバノン、イエメン、中東、世界)

テルアビブ発

2026年03月30日

米国とイスラエルによる対イラン軍事行動(2026年3月2日記事参照)が始まってから、3月28日で1カ月が経過した。この間、戦闘はイラン本土とイスラエル周辺にとどまらず、中東湾岸地域や紅海を含む広範な地域に拡大し、軍事的な応酬が続いている。エネルギー供給や海上輸送を通じ、経済や物流面での影響が国際的に広がっている。

米国とイスラエルはこの間、イランの国家中枢と軍事能力などを中心に攻撃した。2月28日にはイランの最高指導者アリー・ハーメネイー氏が空爆で死亡した。また、イスラエル国防軍(IDF)は3月1日付公式X(旧Twitter)で、イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)司令官、国防相をイスラエルの攻撃で相次いで殺害されたと発表。3月26日にはホルムズ海峡封鎖を主導したIRGC海軍司令官が死亡したことがイスラエル国防相により公表された。

施設への攻撃では、IRGC司令部、指揮統制拠点、弾道ミサイルや無人機の製造・保管施設、発射拠点などが標的となった(2026年3月23日記事参照)。核関連施設ではナタンズのウラン濃縮施設周辺、アラク重水炉、ウラン原料加工施設などが攻撃を受けたほか、さらにガス田や重工業施設にも被害が及んだと複数メディアが報じている。

これに対し、報道によればイラン側は、イスラエル本土および中東各地の米軍基地を主な対象として、ミサイルや無人機攻撃を実施した。イスラエルではテルアビブ周辺を含む都市部の住宅地や商業地区にも被害が生じた。

さらにイランは湾岸地域でも軍事行動を展開し、湾岸諸国の米国関連施設や同盟国拠点のほか、空港、港湾、エネルギー関連施設が攻撃対象となった。加えてホルムズ海峡では商船通航の制限が続き(2026年3月4日記事参照)、原油や液化天然ガスの輸送に支障が生じ、アジアや欧州を含む国際物流とエネルギー市場に影響が波及している。

イスラエル周辺では、レバノン南部を拠点とするヒズボラがロケット弾やミサイル、無人機でイスラエル北部を攻撃し、イスラエル軍はレバノン南部やベイルート周辺を空爆した。さらに、3月28日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派がイスラエルに向けてミサイルや無人機を発射し、戦闘が紅海周辺にも広がる可能性が示唆されている。

こうした中、米国は揚陸艦を含む海兵隊部隊を中東周辺に展開し、即応態勢を強化しているという。一方、イラン側もミサイル攻撃やホルムズ海峡での通航制限、代理勢力の活動を継続しており、戦闘沈静化の兆しは見えない。軍事的緊張の長期化は、エネルギー供給や国際物流への影響をさらに拡大させる恐れがあり、先行きは依然として不透明な状況にある。

イスラエルの軍事衝突の関連情報は、ジェトロのイスラエルとハマスの衝突の特集イスラエル・米国とイランの衝突に関する中東情勢、各国の反応を参照。

(中溝丘)

(イスラエル、米国、イラン、レバノン、イエメン、中東、世界)

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