2026年の米国食品価格は前年比3.1%上昇の見通し、牛肉価格の高騰が顕著

(米国)

ニューヨーク発

2026年03月02日

米国農務省(USDA)の経済調査局は2月25日、2026年の米国食品価格が前年比3.1%上昇(注)するとの見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

食品価格を内食・外食に分けてみると、ともに高めの伸びが予想されている。外食価格は3.7%上昇と、2025年(3.8%)よりもやや伸びが低下するものの、過去20年の平均(3.5%)を上回るペースが予想されている。一方、スーパーなどの内食向け食品は2.5%上昇と、前年(2.3%)よりも伸びが加速するものの、全体としては過去20年の平均(2.6%)をわずかに下回る見込みだ。

内食について品目別にみると、特に牛肉・子牛肉の価格上昇が顕著で、前年(11.6%上昇)と比べると伸びは鈍化するものの、2026年も前年比5.5%増と、引き続き他の食品カテゴリーを大きく上回る伸びが予想されている。なお、2026年1月時点では、前年同月比15.0%増と高水準の伸びだ(2026年2月24日記事参照)。この背景には、米国内の牛の飼育頭数が2019年以降、干ばつや気候変動による牧草地の生産性低下、飼料価格の高騰、牛の生産サイクルなど複数の要因により低水準に落ち込んだことによる供給不足があるが、消費需要は依然として根強く、こうした需給の逼迫が価格上昇を招いている。トランプ政権は、アルゼンチン産牛肉の関税割当を拡大する対策を打ち出している(2026年2月12日記事参照)ものの、供給不足の根本的な解消には時間を要するとみられる。

牛肉以外にも、魚介類、加工果物・野菜、砂糖・菓子類、シリアル・ベーカリー製品、コーヒーを含む非アルコール飲料など米国内での工程を多く必要とするものを中心に価格上昇圧力が強く、前年および過去20年間の平均を上回る上昇が続くと見込まれている。

一方で、卵は前年の鳥インフルエンザに伴う供給不足という特殊要因が解消することにより前年比27.4%価格が低下すると予測されており、これが内食価格全体の伸びの押し下げに寄与している。たんぱく質源の選択において家計の牛肉離れや、鶏肉・豚肉へのシフトが進む可能性がある。

コーネル大学の応用経済学・経営学教授であるクリストファー・バレット氏は、食品価格高騰の主因として「生産コストの上昇」を挙げた。同氏によると、「食料品のカゴに入っている食品コストの半分は人件費が占めており、レストランの食品の場合はその割合がさらに高くなる。食品業界は特に外国籍の労働者に依存しているため、現在の移民政策や戦略が人手不足を引き起こし、労働力のコストを押し上げている。さらに、肥料や燃料といった輸入資材も、コストの大きな割合を占めている」と指摘する。

(注)本文中の2026年の予測値はいずれも中央値。予測値には幅がある。

(樫葉さくら)

(米国)

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