国連、ホルムズ海峡に関する専門タスクフォースを設立、中東に関する国連特使も任命
(世界、中東)
調査部中東アフリカ課
2026年03月31日
国連は3月27日、中東情勢の悪化やホルムズ海峡を通る海上貿易の混乱が起こる中、今後数カ月にわたり、こうした混乱が人道支援ニーズや農業生産に波及する恐れがあるとし、ホルムズ海峡に関する専門タスクフォースの設立を発表した。
この取り組みは、ウクライナ戦争での黒海穀物イニシアチブ(BSGI
)、イエメンに関する照合・検査メカニズム(UNVIM
)、ガザ地区に関する国連メカニズムなどこれまでの軍事衝突下などにおける物流構築の取り組みを参考に、ホルムズ海峡での肥料や関連原材料の貿易の円滑化を目指す。国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)事務局長であるジョルジ・モレイラ・ダ・シルバ氏がリーダーとなり、国連貿易開発会議(UNCTAD)、国際海事機関(IMO)、国際商業会議所(ICC)の代表者が参加し、そのほかの関係機関も参加する可能性がある。
この取り組みの設立に関して、アントニオ・グテーレス事務総長は、世界的な作付けシーズンの重要な時期に、ホルムズ海峡の長期にわたる閉鎖が石油・ガス、肥料の輸送の阻害となっていると指摘した。また、国連食糧農業機関(FAO)も、ホルムズ海峡の閉鎖が農業生産や世界の食糧安全保障を脅かしていると発表している(2026年3月25日記事参照)。加えて、国連人道問題調整事務所(OCHA)は、今回の危機が新型コロナウイルスやウクライナ戦争の勃発以来、最も深刻な人道支援サプライチェーンの混乱を引き起こしているとし、食糧、医療品、緊急救援物資の輸送に影響していると指摘したという。
なお、G7やIMOおよび関係国もホルムズ海峡の通航の再開に向けて、取り組みを進めている(2026年3月26日記事参照)。
国連は3月28日、中東情勢悪化における国連の取組を主導する特使として、フランス人外交官ジャン・アルノー氏を任命したと発表
した。同氏は、改めて、米国とイスラエルに対して攻撃の停止を求め、あわせて、イランに対して近隣諸国への攻撃を停止するよう求めた。加えて、外交努力と国際法の尊重の重要性を述べた上で、調停と和平に向け、関係当事者全員と連絡を取り合う予定だとした。また、中東での衝突が、地域および世界の市民や経済にどのような影響があるかを検証する予定だと述べた。
中東情勢は特集「イスラエル・米国とイランの衝突に関する中東情勢」も参照。
(井澤壌士)
(世界、中東)
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