カナダが新たな自動車戦略を発表、対米報復関税の免除枠組み強化も検討
(カナダ)
調査部米州課
2026年03月05日
カナダ政府は2月5日、カナダの自動車産業を変革するための新戦略を発表
した。それに基づき、カナダ政府は2月27日、自動車関税免除枠組みの強化(注1)について、4月13日までパブリックコメントを募集すると発表した。
カナダ政府は新戦略を策定した背景として、現在、カナダで製造された乗用車の90%以上と、同部品の60%以上が米国向けに輸出されている中、同国の自動車産業が不確実性に直面していることを理由に挙げ、単一の貿易相手国に依存する経済から、多様な国際貿易相手に支えられた、より強く、持続可能で、独立した経済を築く必要があるためとしている。
同戦略で発表された内容は次のとおり。
(1)カナダの自動車製造業への投資を加速させ、自動車産業が新たな市場に適応、成長し、多様化できるよう、連邦政府の戦略対応基金から30億カナダ・ドル(約3,450億円、Cドル、1Cドル=約115円)、地域関税対応イニシアチブから最大1億Cドルを拠出する。
(2)温室効果ガス(GHG)排出削減政策を合理化するために、2027〜2032モデル年向けのより強力な排出基準を導入する。これにより、現行の電気自動車(EV)可用性基準(注2)を廃止することが可能となる。
(3)EVをより手頃で信頼できるものにするべく、5年間にわたり23億CドルをかけてEV手頃価格プログラム(EV Affordability Program)を実施する。個人または企業が購入するバッテリー式EV(BEV)および燃料電池車(FCV)に対して最大5,000Cドル、プラグインハイブリッド車(PHEV)に対して最大2,500Cドルの購入またはリース奨励金を提供する(注3)。
(4)自動車産業の競争力を強化する包括的な貿易体制を確立するため、カナダで生産・投資を行う企業への報奨として自動車関税免税枠組みを強化する。また、米国からの自動車輸入に対する報復関税(2025年5月7日記事参照)を維持し、国内市場での公平な競争条件を確保する。そのほか、産業協力の強化を目的として、韓国と覚書(MOU)を締結するほか、中国との新たな戦略的パートナーシップの確立に注力する(2026年1月20日記事参照)。
(5)カナダの自動車労働者と企業を保護するべく、新しいワークシェアリング助成金を提供する。
カナダ政府は、本新戦略の(4)に該当する自動車関税免税枠組みについて、パブリックコメントを募集すると発表した。対象者は車両組立業者、部品メーカー、輸入業者、労働組合などとなっており、2026年4月13日までに「autos.consultations@fin.gc.ca」宛てにメールを送付することで政府に対するフィードバックが可能だ(注4)。
(注1)カナダで車両を製造する自動車メーカーがカナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA)準拠の米国で製造された車両をカナダに輸入する際、その一定数について対米報復関税が免除される措置(2025年4月22日記事参照)。
(注2)カナダ政府は2024年10月、2035年までにカナダ国内で販売される全新車をゼロエミッション車(ZEV)にすることを目標にEV可用性基準を導入し、自動車メーカーや輸入業者に対し、年次ごとに段階的な販売義務目標(ZEVの販売比率)を定めた。
(注3)対象はカナダが自由貿易協定(FTA)を結ぶ国が製造した車で、最終取引価値が5万Cドルまでのものに限る。なお、カナダ製EVおよびPHEVにはこの上限は適用されない。
(注4)パブリックコメントの詳細は、カナダ財務省「Consultations on Canada’s Automotive Remission Framework
」を参照。
(谷本皓哉)
(カナダ)
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