米控訴裁が国際貿易裁判所の執行停止を解除、IEEPA関税の還付に前進

(米国)

ニューヨーク発

2026年03月04日

米国の連邦巡回区控訴裁判所は3月2日、国際貿易裁判所(CIT)に対して、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置を無効と判断した判決の執行再開を指示PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。これによりCITは、輸入者が既に支払ったIEEPAに基づく関税の還付に関する手続きを進められることになる。

CITは2025年5月、米国企業からの提訴を受け、IEEPAに基づく関税は無効と判断した。その後、審理を継続した控訴裁も同年8月に、CITの判断を支持した。ただし、控訴裁はCITに対して、連邦最高裁判所の最終的な判断が出るまで、執行を猶予するよう定めた(2025年9月1日記事参照)。その後、最高裁は2026年2月20日、IEEPAに基づいて大統領が関税を課すことは認められないとの判決を下した(2026年2月24日記事参照)。

最高裁の判決を受け、原告企業は2月24日、控訴裁に対し、CITが関税還付などの救済措置を速やかに開始できるよう、執行猶予命令の解除を要請した。一方、トランプ政権は2月27日に、還付手続きの複雑さなどを理由に、最高裁が判決を控訴裁に送付してからさらに90日間、執行命令を出さないよう控訴裁に要請した(注)。

こうした状況に対して、控訴裁は今般、企業からの要請を認め、トランプ政権の要請を却下し、CITに対する執行停止を解除した。その上でCITに、直ちに救済に係る審理開始を命じた。政治専門紙「ポリティコ」(3月2日)によれば、CITは今回の命令により、還付手続きなどの検討を開始できることになる。ただし、CITに対して、法的なスケジュールの期限は設定されていないという。

IEEPA関税をめぐっては、「還付を受けられない可能性がある」「自動的に還付されるのは訴訟を起こした原告に限られる可能性がある」といった懸念から、関税の還付を求める訴訟が相次いでいた。だが、最高裁は判決で、関税の還付について触れなかったため、その方法が焦点の1つになっている。なお、トランプ政権は訴訟の過程で、裁判所が「還付を命じた後、違法に徴収したと認定されたIEEPA関税を全額還付する」と明言している。この主張は、一度主張した内容と矛盾する主張は許されない「禁反言の法理」により覆されないとされている。ただし、実際の還付手続きは依然として不透明であるため、引き続き今後の発表を注視することが重要となる。

(注)最高裁は通常、敗訴した側に再審理を請求する機会を与えるため、判決確定後32日間は、判決文を送付しない。従って、トランプ政権は約4カ月間、手続きを遅らせるよう要請したことになる。

(赤平大寿)

(米国)

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