ASEAN経済相ら中東情勢の緊張の高まりに懸念、エネルギー安全保障の強化も
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール、中東)
ジャカルタ発
2026年03月24日
ASEAN事務局(本部:インドネシア・ジャカルタ)は3月13日、第32回ASEAN経済大臣会合(AEM)リトリート(非公式会合)の共同声明
を発表した。フィリピン・タギッグで開催された同会合では、中東地域の緊張がASEAN地域および世界経済に与える潜在的な影響を含む国際情勢などに関する意見交換が行われた。
共同声明では、中東地域の継続的な緊張の高まりに深い懸念を表明した上で、「紛争の激化が世界のエネルギー市場の不安定化や、主要な海上航路・サプライチェーンの寸断を通じて、世界経済に波及効果を及ぼしている」と指摘した。また、「このような寸断は運賃や保険、物流コストの高騰を招いており、エネルギーや食料などの必需品におけるインフレ圧力につながっている」と危機感を示した。
これらの経済的影響を緩和するため、「ASEANは引き続き、透明で予測可能な地域経済構造を維持し、貿易・投資に開かれた市場であり続ける」とした。さらに、「ASEANに対する投資家の信頼を維持するため、既存の地域協定を通じて地域のサプライチェーンの結束を強化しつつ、域外のステークホルダーや投資家とも密接に協力していく」と強調した。
特に、エネルギー市場と経済安定性が密接に関連しているとの認識のもと、ASEANが国際的なエネルギー市場において石油・LNG供給ルートの混乱にさらされている現状を踏まえ、地域のエネルギー安全保障と強靭(きょうじん)性強化が重要だとした。具体的には、エネルギー消費の管理や供給源・ルートの多様化に加え、バイオエネルギーや再生可能エネルギーを通じた有事への備えに関する地域協力を高めるとした。これには、(日本を含む)ASEAN対話パートナー(注)との協力を通じた再生可能エネルギーへの移行や代替エネルギーの開発が含まれるとした。
また、単独主義の台頭を含む、世界的な貿易の不透明感の長期化に対する懸念を表明した。あわせて、ASEAN加盟国の多くが対象となっている米国通商法301条に基づく調査を注視し、調査が国際貿易ルールにのっとって行われることを確実にするため、積極的に関与していくとした。
2025年10月に交渉の実質妥結が発表されたASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA、2025年10月29日記事参照)については、時宜にかなった妥結と署名に向けた進展の重要性を強調した。
ステークホルダーとのセッションでは、産業界の代表としてASEANビジネス諮問評議会(ASEAN-BAC)が参加した。同評議会からは、年間の事業計画や、ジェトロらと共同で実施したアンケート調査「ASEANビジネス・バロメーター2026」の結果(2026年3月18日記事参照)などが発表された。
(注)対話パートナー(ダイアログパートナー)には、日本、オーストラリア、カナダ、中国、EU、インド、韓国、ニュージーランド、ロシア、英国、米国が含まれる。
(大滝泰史)
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール、中東)
ビジネス短信 12048670e2bc8af3






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