米24州などがGHG危険性認定撤回を巡り環境保護庁を提訴、権限解釈が争点
(米国)
ニューヨーク発
2026年03月27日
米国カリフォルニア州やマサチューセッツ州を含む24州など(注1)は3月19日、米環境保護庁(EPA)による温室効果ガス(GHG)の危険性認定撤回を受け、司法審査を求めてワシントンD.C.巡回区控訴裁判所に提訴した(2026年2月16日記事、2月25日記事参照)(注2)。同認定の撤回を巡っては、環境団体など加え、地方自治体による訴えも拡大している。
今回の提訴は、EPAが2026年2月に公表した最終規則により、2009年のGHG危険性認定(Endangerment Finding)を撤回し、2012年モデル以降の自動車向けGHG排出基準を廃止したことを対象とする。行政機関が経済・政治的に重要な問題を規制化するには、議会からの明確な授権が必要だとする司法原理「重要問題原則(Major Questions Doctrine)」に照らし、同庁が大気浄化法(CAA)のもとでは、気候変動という重要な問題を規制化する権限は与えられておらず、その対応は議会に委ねられるべきと主張している。同条では、最終規則に対する司法審査申し立ては、官報掲載後60日以内に行われることが定められており、2026年4月20日の規則発効後に危険性認定撤回の違法性を争うことは認められないため、今回の提訴が、行政決定の正当性を問う主要な訴訟手段となる。
今回訴訟に参加したペンシルベニア州のジョシュ・シャピーロ知事(民主党)は、「大気汚染は人々の健康を危険にさらし、異常気象を悪化させ、農作物を脅かし、さらには医療費の高騰を招く。われわれが呼吸する空気から汚染物質を排除するための保護措置を後退させようとすることで、トランプ政権はまたしても科学を軽視し、ペンシルベニア州民の命を危険にさらそうとしている」と述べ、「この政権による有害な行為に対して毅然(きぜん)と立ち向かう」と強い態度を示している。
(注1)マサチューセッツ、カリフォルニア、ニューヨーク、コネチカット、アリゾナ、コロラド、デラウェア、ハワイ、イリノイ、メーン、メリーランド、ミシガン、ミネソタ、ネバダ、ニュージャージー、ニューメキシコ、ノースカロライナ、オレゴン、ペンシルベニア、ロードアイランド、バーモント、バージニア、ワシントン、ウィスコンシンの24州とコロンビア特別区、バージン諸島のほか、複数の自治体が訴訟に参加している。
(注2)CAA307条(b)(1)では、自動車の排ガス規制など一部EPAの定める規制に関する審査の申し立てについては、連邦地方裁判所を経ず、直接、連邦控訴裁判所に提訴することが定められている。
(大原典子)
(米国)
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