米環境保護庁、GHG危険性認定撤回を受け、自動車からの排出規制を廃止

(米国)

ニューヨーク発

2026年02月25日

米環境保護庁(EPA)は2月12日、2009年に策定された温室効果ガス(GHG)の危険性認定を撤回するとともに、米国で製造または輸入される2012年モデル以降のライトビークル(乗用車と小型トラック、LDV)、中型車両および大型車両、ならびにそれらのエンジンに対するGHG排出基準を廃止する最終規則を発表した(2025年2月16日記事参照)。同規則は2月18日に官報に掲載され、4月20日から有効となる。

GHG排出規制の根拠法である大気浄化法(Clean Air Act: CAA)の第202条(a)(1)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、新車の車両およびエンジンから排出される物質が、「公衆の健康または福祉を害する、または害する恐れがある大気汚染物質」に該当するとEPA長官が判断した場合、同長官に対し、排出基準の制定を義務付けている。これに対しオバマ政権下のEPAは2009年、二酸化炭素(CO2)を含む6種類のGHGが、公衆の健康と福祉に害をもたらすと判断し、危険性認定を行った。さらに新車の車両およびエンジンから排出されるGHGが大気汚染の一因となると結論付け、CAAに基づき車両由来のGHG規制を制定した。EPAによると、2023年時点での自動車からのCO2の年間平均排出量は、それまでの10年間で約23%減少した(注)(2025年1月15日付地域・分析レポート参照)。

EPAは今回のGHG排出基準廃止に関する最終規則について、CAA202条(a)(1)は地域的な大気汚染を抑制する目的で制定されたものであり、EPAに地球規模で影響のあるGHGの危険性認定やそれに基づく自動車由来の排出規制を定める法的権限を与えるものではない、と説明した。また、これまでGHG規制は気候変動の改善に何ら寄与していないとも指摘した。さらに、今回の規制廃止によって製造コストが削減され、車両1台当たりの平均価格が2,400ドル以上低下する見込みであると述べた。

自動車イノベーション協会のジョン・ボゼーラ代表兼最高経営責任者(CEO)は、「過去の政権で最終決定されたGHG規制は、現在の市場における電気自動車(EV)需要の伸びの低さを踏まえると、自動車メーカーにとって達成が非常に困難だ。その中でも、米国の自動車業界は、消費者の自動車選択肢の確保、業界の競争力の維持、そして排出量削減とよりクリーンな自動車の実現に向けた長期的な取り組みに引き続き注力している」と肯定的かつ慎重なコメントを発表した。また、米自動車大手のフォードは、今回の措置を歓迎するとともに、州ごとではなく全国で単一の排出基準が必要であることも主張している(ロイター2月13日)。なお、今回の規制廃止をめぐっては、複数の環境団体らがEPAを提訴しており、規制の行方は司法の判断に委ねられることとなる。

(注)EPAはCO2排出量の実績などを含む報告書「自動車トレンドレポート」を発表しているが、2月に公開された2025年版PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、今回の危険性認定の撤廃を受けて、GHG関連のデータを削除している。

(大原典子)

(米国)

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