ロシア経済減速の中、存在感増す中央アジア・コーカサス、ジェトロ所長がウェビナーで解説

(コーカサス、中央アジア、ロシア)

調査部欧州課

2026年02月17日

ジェトロは2月10日、ロシア、中央アジア、コーカサス地域を管轄する現地事務所長が登壇するオンラインセミナーを開催、現地の経済・ビジネス環境の現状と展望について解説した。

ジェトロ・モスクワ事務所の島田憲成所長は、ロシアの経済成長の見通しについて、好調が続いてきた2024年までとは一転、2025年は1%程度の成長となり、原油価格の下落や金融引き締め政策などが原因となって今後は低迷が続くとの見方を示した。西側からの制裁を受け、製造業、スマートフォン向けアプリなどさまざまな分野で国産化の動きが加速する一方、自動車販売を中心に中国が台頭。在ロシア日系企業の景況感は2024年に続き2025年も悪化している。企業活動上の課題として、中国企業との競合やレピュテーションリスクなどが指摘されている。

タシケント事務所の一瀬友太所長は、将来性のある分野として、2025年12月の中央アジア5カ国首脳来日の際(2025年12月25日記事参照)に焦点となったグリーン、コネクティビティー、人材育成の3つを指摘。物流ルートの結節点として世界の注目を集める中央アジア5カ国はいずれも堅調な経済成長を遂げている。ウズベキスタンでは、民間、政府による投資が経済成長を牽引し、2025年のGDP成長率は7.7%。特に建設部門の伸びが顕著だ。中国を筆頭に外資系企業数は増加しており、進出日系企業数は2019年の27社から2024年には54社と飛躍的に伸びた。主たる部門はITとサービス分野だ。

コーカサス3カ国のうち、アゼルバイジャンとジョージアについては佐野充明イスタンブール事務所長が、アルメニアについては島田所長が説明した。コーカサスは物流の中継地と欧州のエネルギー代替調達先として期待される。物流については、中央回廊(注1)の開発がユーラシア連携の推進役になっているほか、南北回廊(注2)では関係国間のインフラ整備が検討され、ザンゲズル回廊(注3)はアゼル・アルメニア和平共同宣言を受けた開発の行方が注視される(2025年8月13日記事参照)。アゼルバイジャンは物流のほか、再生可能エネルギー部門にも注力、外国との協業に積極的だ。親欧米路線を貫いてきたジョージアでは内政の揺れが続く中、ビジネスでは中国やアラブ首長国連邦とのパートナーシップを強化。電力や日本食材小売分野で日系企業の進出がみられる。アルメニアは物流の中継地としてポテンシャルを高め、ITや観光誘致に力を入れている。

(注1)カスピ海横断国際輸送ルート(TITR)とも呼ばれる。トルコ、ジョージア、アゼルバイジャン、カザフスタンを経由して欧州と中国をつなぐ国際複合輸送路で、2022年2月以降、ロシアを迂回する物流ルートとして開発が進んでいる。

(注2)「南北国際輸送路(INSTC)」は、カスピ海周辺のアゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタンを経由して、ロシアとイラン、インドをつなぐ国際複合輸送路。

(注3)アゼルバイジャンからアルメニアの領土を通じて飛び地のアゼルバイジャン領ナヒチェバン自治共和国を結ぶ「国際平和・繁栄のためのトランプ・ルート(TRIPP)」と呼ばれる回廊。

(鶴見敦子)

(コーカサス、中央アジア、ロシア)

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