米小売り大手のウォルマートとターゲットで新CEOが同日に就任

(米国)

ニューヨーク発

2026年02月04日

米国小売業界最大手のウォルマートと競合相手のターゲットにおいて、それぞれ2026年2月1日付で新CEO(最高経営責任者)が正式に就任し、新たな経営体制へと移行した。両社とも、長年勤務してきた社内幹部を後継に据えるかたちとなり、またテクノロジーの活用という方向性も共通しているものの、顧客戦略については違いも見受けられる。

ウォルマートは、ダグ・マクミロンCEOが約12年にわたる経営を終え、ジョン・ファーナー氏が後任に就くと発表した。ファーナー氏は、1993年にウォルマートの時給従業員としてキャリアをスタートさせた、いわば「生え抜き」だ。これまでウォルマート米国事業の責任者として約4,600店舗を統括した実績を持ち、現場の運営から企業戦略まで幅広い経験を積んできた。同氏は新CEOとして、デジタル主導の経営体制を強化するため、就任直前に大規模なチーム再編を断行した。その中核として、米国部門のチーフEコマースの責任者だったデビッド・グジーナ氏を、自身の後継となるウォルマート・米国部門の責任者に指名した。この変革について、人工知能(AI)が小売業を急速に塗り替える中、プラットフォームを集約して共有機能を加速させることで、各事業部門がより顧客や会員に寄り添える体制を整えることが目的だと述べた。

ウォルマートは近年AIの活用を急速に進めているが(2025年10月22日記事参照)、こうした方向性を強化していくことを明確に打ち出したものといえそうだ。なお、マクミロン氏は、CEO退任後も取締役会に残留し、2027年までアドバイザーとして移行期を支える。

ターゲットでは、ブライアン・コーネル氏が退任し、約20年以上の社歴を持つマイケル・フィデルケ氏が新CEOに昇格した。フィデルケ氏は、これまで最高執行責任者(COO)として財務、商品調達、店舗運営、人材など多岐にわたる部門を担当し、戦略実行と効率改善の両面で中心的な役割を果たしてきた。

ターゲットではここ数年業績不振が続いており、消費の必需品シフトや、多様性や公平性、包摂性(DEI)施策の後退による顧客離れ、トランプ政権の関税強化に伴うコスト増(2025年10月29日記事参照)といった多層的な課題に直面しており、投資家からは外部人材のCEOへの登用を期待する声も寄せられていた(「CNBCニュース」2025年8月20日)。こうした声にもかかわらず、社内昇格が選ばれた大きな理由は、ターゲットの創業時の原点である、「スタイルとデザインへの徹底的なこだわりに回帰することで成長を回復する」という同社の戦略方針が強く影響しているとみられる(「ウォールストリート・ジャーナル」2025年8月22日付)。

フィデルケ氏は就任初日、成長に向けた4つの優先事項を表明し、この中でターゲットの強みであるデザイン性と価値を生かした商品展開を最初の柱として掲げ、これとともに顧客体験の向上、テクノロジーによる利便性の追求、そして人材・地域社会への投資を重視していくことを表明した。なお、コーネル氏は、退任後もターゲットの取締役会の執行会長として会社運営に関与する。

(樫葉さくら)

(米国)

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