IMF、ラオスとの2025年第4条協議レポートを発表

(ラオス)

ビエンチャン発

2026年02月26日

IMF理事会は2月20日、ラオスとの2025年第4条協議に関する一連のレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した(注1)。報告書によれば、ラオス経済は回復基調にあり、2024年6月に26%に達したインフレ率は、2025年12月に5.6%まで低下した。GDP成長率は、2024年の4.3%から2025年は4.5%と0.2ポイント上昇した。このインフレ沈静化の要因として、良好な外的環境に加えて、ラオス中央銀行(BOL)による金融引き締めや国庫単一勘定(TSA)の運用開始(注2)、および為替レートの安定が挙げられている。特に、対外バランスの改善、財政黒字の確保、金融引き締めなどが、為替レートの安定に貢献した。

こうしたマクロ経済の安定化を受け、フィッチ・レーティングスやムーディーズなどの主要格付け会社は、2025年末に相次いでラオスのソブリン格付けを引き上げた(2025年10月27日記事2025年12月10日記事参照)。これを背景に、ラオス政府は2025年11月、シンガポール市場で3億ドル規模のドル債発行に成功し、2019年以来の国際資本市場への復帰を果たした。また、外貨準備高も、電力輸出や観光収入の増加、対内直接投資の流入に加え、債務返済猶予に支えられ、2024年末の17億ドルから2025年12月末には23億ドル(輸入の2.4カ月相当)へと増加したと指摘した。

改善の兆しが見える一方で、公共債務の抜本的な解決は依然として課題だ。公的および公共保証債務(PPG、注3)の対GDP比は、2022年の115.7%をピークに2025年末には80.6%まで大幅に低下したと推定される。しかし、「債務の持続可能性」に関する評価は、2024年の評価(2025年1月16日付地域・分析レポート参照)と同様、対外債務貧窮リスク、債務窮乏の全体的リスクともに、「債務危機に陥っている」とした。さらに、債務全体の持続可能性も「維持不可能」との評価が維持された。特に、中国による債務返済猶予(2020~2024年累積で23億1,000万ドル)への依存が課題として指摘されている。

IMFは、BOLが2025年中に政策金利を4回連続引き下げたこと(注4)や、2026年の公務員給与引き上げに伴う歳出増加に触れ、インフレの抑制と経済の安定性向上、債務の持続可能性の確保のためには、金融政策の引き締めが必要だと強調した。

(注1)第4条協議に関する一連のレポートは、IMFスタッフ報告書および付属文書、IMFおよび世界銀行による債務持続性分析、ラオス担当理事による声明で構成される。ラオス政府との協議は、2025年11月5~20日に実施された。

(注2)国庫単一勘定(TSA)の導入とは、政府の全てのキャッシュバランスを中央銀行の単一の勘定に集約し、一元管理する仕組み。銀行システム内の過剰な流動性を縮小させるのに役立ったと評価している。ラオス政府の資金は従来、複数の商業銀行の個別口座に分散して保持されていた。

(注3)中央政府の債務(対外公的債務と国内公的債務)と政府保証の国有企業債務が含まれる。

(注4)BOLは2025年内に政策金利を4回連続で引き下げ、2024年末の10.5%から2025年11月には8.5%となった。さらに、本レポート発表日と同じ2026年2月20日に開催された金融政策委員会において、BOLは8.0%に引き下げると決定した。

(山田健一郎)

(ラオス)

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