米商務省、輸出管理違反でアプライド・マテリアルズに罰金、議会は同盟国へ規制強化を要請

(米国、中国、韓国)

ニューヨーク発

2026年02月16日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は2月11日、米国半導体製造装置(SME)メーカーのアプライド・マテリアルズ(AMAT)および韓国法人のアプライド・マテリアルズ・コリア(AMK)と、SMEの中国への違法輸出に関して和解したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。AMATとAMKは、BISが科す罰金として史上2番目に高い2億5,200万ドルを支払う。

AMATは2021年と2022年に、SMEのイオン注入装置を韓国のAMKへ組み立てのために輸出し、その後、中国の半導体最大手である中芯国際集成電路製造(SMIC)へ再輸出した。SMICは、2020年からエンティティー・リスト(EL)に掲載されているため(2020年12月23日記事参照)、同社に米国製品を輸出・再輸出・みなし輸出などする場合は、BISの輸出許可(ライセンス)が必要となる(注1)。だがAMATは、BISが事前にライセンスが必要であることを通知する「イズ・インフォームド・レター(2024年7月11日記事参照)」を送付していたにもかかわらず、必要なライセンスを取得しないまま再輸出、または再輸出を試み、輸出管理規則(EAR)に違反した。違法に取引された額は、1億2,600万ドルに上る。

BISとAMATは、AMATのこうした違反に対して、取引金額の2倍にあたる2億5,200万ドルを罰金として支払うことで和解した。これは、法令で認められる上限額となる。AMATはまた、輸出コンプライアンスに関する内部監査を複数回実施するとともに、その結果をBISへ報告することが義務付けられた。なお、違法輸出に関与したAMAT・AMKのコンプライアンス担当者および上級グローバル貿易・生産責任者は、退職済みとなっている。

中国に対する輸出管理の強化は、超党派で支持されている。連邦議会下院の外交委員会は2月9日、国務省のマルコ・ルビオ長官および商務省のハワード・ラトニック長官に対して、中国向けSMEに対する輸出管理の一層の強化を求める書簡外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを送った。書簡には、同委のブライアン・マスト委員長(共和党、フロリダ州)、グレゴリー・ミークス少数党筆頭理事(民主党、ニューヨーク州)のほか、下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」のジョン・ムーレナー委員長(共和党、ミシガン州)らが署名した。書簡ではまた、中国が生産できないSMEなどへの輸出管理を強化するよう、国務省から同盟国への働きかけを要請している。こうした、同盟国に対して規制強化を求める議会の姿勢は、トランプ政権の姿勢とも一致しており、米通商代表部(USTR)は各国・地域との一連の貿易協定の中で、相手国に米国の輸出管理措置と同様の措置の導入を求めている(注2)。

一方で、トランプ政権の輸出管理方針は、規制を強化するばかりでなく、運用を簡素化し、より効果的に実行することも重視する。米国ではバイデン前政権下の2020年10月から、先端半導体に関するEARを段階的に強化しており、2024年12月には特定のSMEを新たに規制対象に加えた(2024年12月3日記事参照)。だが、トランプ政権は2025年5月に、人工知能(AI)向け半導体などへの輸出管理を強化する、いわゆる「AI拡散規則(AI Diffusion Rule)」を、「米国のイノベーションを阻害し、企業に過度の規制負担を課す」として撤回している(2025年5月15日記事参照)。米国の経済安全保障政策の中心的な措置となっており、トランプ政権の今後の輸出管理措置の方針が注目される。

(注1)ELには、米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている、またはその恐れがある事業体が掲載される。BISは、ライセンス申請の審査方針を「不許可」または「原則不許可」とすることが多く、実質的に輸出が禁止される。

(注2)トランプ政権の2国間の通商合意と輸出管理措置については、2026年2月6日付地域・分析レポート参照

(赤平大寿)

(米国、中国、韓国)

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