メキシコ電力庁、民間事業者との共同開発スキームの指針を発表

(メキシコ)

調査部米州課

2026年02月02日

電力庁(CFE)は1月28日、民間事業者と共同で発電事業を実施するための「混合開発スキーム」の制度設計や手続要件を定める指針を発表した。混合開発スキームとは、2025年3月19日に施行された電力部門法(LSE)第38条に基づくCFEと民間事業者の、(1)長期契約発電、(2)共同投資、(3)その他施行規則や細則で定める形態、を指す(2025年5月1日付地域・分析レポート参照)。(1)は、CFEが民間事業者と長期契約を締結することにより、民間事業者の出資で発電所を建設し、発電した電力の全量をCFEが買い取る独立発電事業者(IPP)のスキーム(LSE第39条)、(2)は、国と民間事業者が合弁で事業会社を設立して発電事業を行うという形態だ(LSE第40条)。(2)の場合、国が54%以上を出資する。

共同プロジェクト立案に際して、CFE内の「共同開発チーム(GDM)」による技術・経済・財務・社会・環境面を包括するプロジェクト実施に向けた総合裏付け資料の作成が義務付けられる(指針II.1、II.2)。GDMにはCFE主要部局のほか、エネルギー省や大蔵公債省の代表も参加し、使用技術や経済財務モデルの妥当性評価や契約モデルの策定が行われる。民間事業者との契約モデルは、GDMの承認を経て法務部が内容審査を行う。

CFEが共同開発を行う民間事業者の選定プロセスは、原則として公開入札の形をとるが、例外的に、指名競争入札、「競争プロセス」(注1)、随意契約が可能(IV.1〜IV.5)。各方式には厳格なプロセス〔サイト訪問、質疑、事前評価、応札・改札、提案評価、提案改善(最大2回)、落札者決定、契約締結など〕と期限が設定されている。公共入札の場合の落札者決定までの期間は、最長で120日+延長60日の180暦日以内とされた。

GDMは案件ごとに監督者を任命し、四半期報告を義務化する(III.7)。すべての選定プロセスには「外部監視員」が参加し、透明性確保のため「選定プロセス最終監査報告書」を公表する(V.1~V.4)。

旧法体系下の事業者との契約では随意契約も可能

今回発表された指針は、CFEが共同開発パートナーを選定するためのプロセスや基準を定めたものだ。原則として民間事業者は競争入札により選ばれるが、1992年の電力公共サービス法(LSPEE)に基づきIPPや自家発電の許認可を受けている事業者が、LSE体系下におけるCFEの共同開発パートナーとなる場合、同選定プロセスは随意契約の形を取ることができる(IV.3.1.の5およびIV.5)。ただし、同規定はCFEから民間事業者に対して声をかけることが前提となっているため、旧法体系下で許認可を得ている企業がLSE体系下の許認可への移行を自ら申請するためには、LSE施行令の付則第6条に基づき、エネルギー省が公布することになっている旧法体系下の発電許認可から新法体系下への許認可への迅速で自発的移行を促すための指針(注2)に従う必要がある。

(注1)指名競争入札と同様、CFEが指名した複数の事業者が参加するが、選定プロセスにおいて、CFEとの交渉が可能。その中で提案を2回まで改善することができ、CFEにとってより良い最終提案を行ったところが選ばれる選定プロセス。

(注2)エネルギー省は2025年12月5日、国家規制改善委員会(CONAMER)のウェブサイト上で同指針の草案を掲載し、パブリックコメントを公募した。しかし、エネルギー省は12月19日、「詳細な検討の結果、対象範囲を見直す必要があると判断されたため、修正を反映した新たな草案を作成し、規制の実効性および整合性を確保するか、必要に応じて規制戦略の方向性を再検討する」とし、同草案を取り下げてしまった。既に旧法体系下の許認可の有効期限が迫っている事業者もあるため、早急な公布が求められている(2026年1月26日付地域・分析レポート参照)。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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