米商務省、中国原産の黒鉛にアンチダンピング・補助金相殺関税を課す最終決定

(米国、中国)

ニューヨーク発

2026年02月16日

米国商務省国際貿易局(ITA)は2月11日、中国原産のグラファイト(黒鉛)に対して、アンチダンピング関税(AD)および補助金相殺関税(CVD)を課す最終決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。2月17日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで正式に公示する。仮決定からAD税率は据え置いたが、CVD税率は大幅に引き上げた。

AD・CVDは、WTO協定で認められた貿易救済措置だ。ADは輸出国の国内価格よりも低い価格による輸出(ダンピング輸出)が輸入国の国内産業に損害を与えている場合に、その価格差を相殺する目的で課す。CVDは政府補助金を受けて生産などがされた製品の輸出が、輸入国の国内産業に損害を与えている場合に、当該補助金の効果を相殺する目的で課す。

AD・CVDを課すための具体的な手続きは、WTO協定に従い各国が国内法で定めている。米国では賦課にあたって、(1)米国国際貿易委員会(USITC)による国内産業の損害有無の仮決定、(2)ITAによるダンピングや補助金の存在の有無および、ある場合の税率の仮決定、(3)ITAの最終決定、(4)USITCの最終決定の4段階を経る必要がある。ITAは2025年5~7月にダンピングや補助金が存在するとの仮決定をし、中国産の黒鉛に対するAD税率を102.72%、CVD税率を11.58%とした(2025年7月22日記事参照)。今回の最終決定では、AD関税率は据え置いたものの、あらためて調査結果を基に計算し直したとして、CVD税率を66.86%に引き上げた(注)。官報で示された、AD・CVDの対象となる品目の米国関税分類番号(HTSUSコード)は、天然黒鉛を指す2504.10.1000と2504.10.5000、人工黒鉛を指す3801.10.5010、3801.10.5090、3801.90.00となっている。

今回ITAがAD・CVD賦課の最終決定を行ったため、残りはUSITCの最終決定のみとなる。USITCは、ITAの最終決定から45日以内に決定する必要がある。通常、米国税関・国境警備局(CBP)は、ITAによる仮決定後に、対象貨物の輸入者に対して暫定的な現金預託の徴収を開始するため、USITCが米国内産業への損害がないと最終判断した場合、それまでにCBPが徴収した預託金は輸入者に還付される。

米国の黒鉛の輸入量における中国のシェアは低下傾向にあるものの、依然として高い水準にある(2025年12月4日付地域・分析レポート参照)。政治専門紙「ポリティコ」(2月12日)によると、テスラやパナソニックなど在米国の主要な電池メーカーは、米国内の負極材メーカーは輸入材が満たしている性能基準を満たす材料をまだ生産していない、として中国産の黒鉛に対するAD・CVD賦課に反対していた。USITAによる最終決定が待たれる。

(注)AD・CVDは個別企業ごとに異なる税率が設定されている場合がある。詳細はITAの発表および官報を参照。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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