半導体先端パッケージング分野の日米研究開発動向などをテーマにセミナー開催

(日本、米国)

イノベーション部エコシステム課

2026年01月05日

ジェトロは2025年12月18日、半導体産業の国際展示会「SEMICON Japan 2025」(会期12月17~19日、開催地東京)において、半導体先端パッケージング分野での日米の研究開発動向やエコシステム間連携をテーマとしたセミナーを、アリゾナ商業公社(ACA、注)、アリゾナ州立大学(ASU)、横浜国立大学と連携して開催した。

現在、半導体後工程分野の研究開発(R&D)・製造拠点は、中国をはじめ東アジア圏に集中するが、米国では国家先端パッケージング製造プログラム(NAPMP)を設け、連邦政府が国内基盤強化を支援している(2025年1月17日記事参照)。日本は、先端素材や製造装置などの分野に競争優位がある。ジェトロ・ニューヨーク事務所の伊藤博敏次長は、今後の経済や政策の不確実性などを踏まえ、「資材調達ルート確保のための日米2極体制での共同試作や評価、積層技術の規格標準化や光電融合などにおける技術連携、両国の産学共同での政策提言や人材育成などが重要」と総括した。

半導体製造分野の成長が著しいアリゾナ州の概況を、ACAのフェルナンド・ガルシア氏が解説し、2020年以降、同州には計60件以上、2,100億ドル以上の半導体関連新規・拡大投資が行われ、約2万5,000人の新規雇用を生んでいると紹介した。

写真 ACAガルシア氏によるアリゾナ州の説明(ジェトロ撮影)

ACAガルシア氏によるアリゾナ州の説明(ジェトロ撮影)

写真 半導体産業の成長めざましいアリゾナ州〔アリゾナ州立大学(ASU)提供〕

半導体産業の成長めざましいアリゾナ州〔アリゾナ州立大学(ASU)提供〕

ASUからは、先端パッケージング技術の試作・実証拠点であるサウスウエスト・アドバンスト・プロトタイピング・ハブ(SWAP Hub)などの紹介を、同ハブの最高技術責任者(CTO)であるクリシュネンド・チャクラバティ教授やASUのザカリー・ホルマン教授が行った。

同ハブは、米国半導体製造装置メーカーのアプライド・マテリアルズ、先端電子接続技術を手掛けるデカ・テクノロジーズ、オランダの半導体大手NXPセミコンダクターズなど170を超える会員企業などとパートナーシップを持ち、エコシステム形成を推進する。また、ASU研究施設のマクロ・テクノロジー・ワークスは、300ミリ半導体の前工程および先端パッケージングに関する設備を備える。人材面では、工学卒業生が年間7,000人超、学部生の在籍人数は33,000人で、工学部在籍人数は全米最大規模にのぼるという。

写真 チャクラバティ教授(左写真)、ホルマン教授(右写真)によるASUの活動の説明(いずれもジェトロ撮影)

チャクラバティ教授(左写真)、ホルマン教授(右写真)によるASUの活動の説明(いずれもジェトロ撮影)

日本国内の地域エコシステム形成に向けた取り組みについて、横浜国立大学の井上史大准教授が登壇し、需要が増大するチップレット集積の現状・課題と解決に向けた取り組みを解説。人工知能(AI)向けのデータセンターを筆頭に急増する需要に呼応し、半導体の研究開発においてチップレット集積が中核技術の1つとされる中、チップ間を組み合わせる技術的課題に、同氏が代表を務めるコンソーシアム「3Dヘテロ集積アライアンス(3DHI)」で臨むと述べた。

写真 横浜国立大学の井上准教授がサムスンジャパンR&Dセンター、レゾナックなどの半導体R&Dの企業集積と連携したコンソーシアムの取り組みを解説(ジェトロ撮影)

横浜国立大学の井上准教授がサムスンジャパンR&Dセンター、レゾナックなどの半導体R&Dの企業集積と連携したコンソーシアムの取り組みを解説(ジェトロ撮影)

同コンソーシアムの取り組みは、20251216日に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が公募する「次世代エッジAI半導体研究開発事業」の研究開発課題の1つに採択されたばかりだ。複数の関東圏大学や企業と連携し、関東地区にオープンなRD拠点を立ち上げるほか、次世代人材育成もプロジェクトに内包する。「横浜の地からレゾナックをはじめとする参画企業とともに取り組みを加速し、米国などと国際連携を最大化していく」と意気込みを述べた。

先端パッケージング分野における研究開発・製造機能強化に向けた、国際的な産学官連携の取り組みの進展が今後も注目される。

(注)ACAは、日本との経済協力、直接投資機会のさらなる拡大を目的とし、20259月に東京事務所を開設している(2025年9月12日記事参照)。

豊田裕子、堀永卓弘)

(日本、米国)

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