米商務省、半導体の先進パッケージング研究プロジェクトに合計14億ドルの助成確定と発表

(米国)

ニューヨーク発

2025年01月17日

米国商務省は1月16日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく国家先端パッケージング製造プログラム(NAPMP)の下、14億ドルの助成が確定したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回の助成は大きく2つに分かれる。1つは、先進的な基板や材料の研究に対する合計3億ドルの助成だ。具体的には、韓国の化学素材大手SKC関連会社アブソリックスによる基板・素材先進研究技術(SMART)パッケージングプログラムを通じたガラスコア・パッケージングのエコシステム構築、半導体製造装置メーカーのアプライドマテリアルズによる次世代の先進パッケージング、3D異種統合のためのシリコンコア基板技術の開発と規模拡大、アリゾナ州立大学のファン・アウト・ウエハー・レベル・パッケージング(FOWLP)による次世代マイクロエレクトロニクスのパッケージ開発に、それぞれ1億ドル助成する。商務省は2024年11月にこれら3者へ助成する意向を発表していた(2024年11月25日記事参照)。

もう1つは、国立半導体技術センター(NSTC)の3つ目の旗艦研究開発施設「先端パッケージング試験施設(PPF)」を運営する非営利団体ナットキャストに対する11億ドルの助成だ。助成対象となるプロジェクトには、新しい先進パッケージングプロセスの開発と商業化を可能にするための試作ライン設置などが含まれる。PPFは、アリゾナ州立大学のリサーチパークに設立すると1月に発表されていた(2025年1月7日記事参照)。

商務省のジーナ・レモンド長官は「最先端半導体製造で米国のグローバルリーダーとしての地位を維持するには、高度なパッケージング能力の強化がカギになる」と、パッケージングの重要性を強調した。後工程に分類されるパッケージングは個々でかたちが違い、その都度、装置の設定を変えることが必要とされているため、生産工場は人件費が安い国に集中しており、生産コストが高い米国では採算がとれないとされている。そのため、米国内でパッケージングを行うには、生産を極力自動化した「先端パッケージング」が必要といわれている。

また、商務省は同日、国立標準技術研究所(NIST)がNSTCの運営のために、ナットキャストに対して最大63億ドルを助成したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。NSTCの運営に対しては、2024年2月にも50億ドル以上助成すると発表していた。

(赤平大寿)

(米国)

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