ブラジル大統領府、EUメルコスールFTAの署名承認を歓迎

(ブラジル、メルコスール、EU)

調査部米州課

2026年01月14日

ブラジル大統領府は1月9日、EU理事会(閣僚理事会)が1月9日にメルコスールとの包括的パートナーシップ協定(EMPA)と暫定貿易協定(iTA)の署名承認を決定したことを受け、「多国間主義にとって歴史的な日だ」とのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領の声明を発表した(2026年1月13日記事参照)。両協定の署名は、1月17日に行われる。

ルーラ大統領は、「世界で保護主義的な動きが強まる中で、当該協定は国際貿易を支持するシグナルであり、両地域に経済的な利益をもたらす」と述べ、自由貿易の重要性をあらためて強調した(1月9日付ブラジル大統領府)。また、「当該協定が発効すれば、ブラジル産品の輸出拡大のみならず、EU企業からの投資増加や、在ブラジルEU企業の生産性を高める」とブラジルのみならず、EU企業にも便益をもたらすことを強調した。この度の、EU理事会での承認にあたっては、農業国であるフランスをはじめ、ポーランド、オーストリア、ハンガリー、アイルランドが反対票を投じたと報じられている(1月9日付「EURACTIV」)紙)。

ブラジルの大手メディア・通信会社「オ・グロボ」(1月10日付)は、「中国自動車メーカーが電動車の販売台数を伸ばしているが、今後は欧州完成車および部品メーカーが競争力を持つことになるだろう」と報じている(注1)。ブラジルにおける2025年の電動車販売台数は、過去最高の22万台で前年比26%増加した(2026年1月9日記事参照)。中でも、BYDや長城汽車が存在感を高めており、両社はともに2025年11月にブラジルでの生産を開始した。他方、ブラジル自動車市場では欧州や米国の自動車メーカーによる自動車生産の歴史が長く、国内新車販売(登録)台数のうち、フィアットが構成比25.5%と最大で、次いでフォルクスワーゲン(VW)が15.2%と2社で4割強を占める(注2)。ブラジルにおける完成車のMFN税率は35%、自動車部品は14~18%と関税率が比較的高いが、当該協定が発効すれば、完成車は最長15年、多くの自動車部品は最長10年かけて無関税化する(注3)。関税が0%になるまでには比較的長い時間を要するが、「徐々に恩恵を受けるだろう」と報じられている(1月10日付「オ・グロボ」)。

今後、市場アクセス分野を含むiTAは、1月17日の署名を得て、メルコスール4カ国(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)各国議会での承認、EU理事会の同意と欧州議会の認可を経て発効する。

(注1)電動車には、バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)が含まれる。データはブラジル電気自動車協会(ABVE)から引用。

(注2)2024年のブラジル自動車製造業者協会(Anfavea)データによる。

(注3)電動車や新技術を搭載した自動車では、さらに長期間の関税削減までの期間が設けられており、18年から30年かけて関税が撤廃される。

(辻本希世)

(ブラジル、メルコスール、EU)

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