欧州最大規模の洋上風力発電入札、合計8.4GWを確保
(英国、ドイツ、米国)
ロンドン発
2026年01月22日
英国政府は1月14日、再生可能エネルギー支援スキームの差額決済契約制度(CfD、注1)第7ラウンド(AR7)のポット3およびポット4(注2)の落札結果を公表し、過去最大の計8.4ギガワット(GW)の洋上風力発電量(注3)を確保したと発表
した。英国政府は今回の洋上風力発電の入札について「欧州市場最大規模」だと強調している。
選定されたプロジェクトについて(詳細は添付資料表参照)、着床式ではドイツのエネルギー大手RWEが、ドッガーバンク・サウスとノーフォーク・バンガードのプロジェクトを落札した。RWEはノーフォーク・バンガードプロジェクトの50%の株式を米国投資会社KKRに売却し、両社で風力発電所を共同開発する。また、英国の電力大手SSEの北海に位置するバーウィック・バンク・プロジェクトでは、総出力4.1GWのうち1,380メガワット(MW)が第1段階(フェーズ1)として落札された。
予算面では、着床式洋上風力発電(ポット3)の当初予算は9億ポンド(約1,917億円、1ポンド=約213円)だったが、17億9,000万ポンドに増額され、AR7全体の総予算は19億7,000万ポンドとなった。今回の予算増額は、政府がAR7で入札された各プロジェクトを慎重に検討した結果であり、家計にとって費用対効果の高い追加発電容量の確保が目的と説明した。
また、AR7における着床式洋上風力発電の平均保証価格(固定価格買い取り、Feed-in Tariffs:FIT)は1メガワット時(MWh)当たり90.91ポンドとなり(注4)、浮体式洋上風力発電の保証価格は216.46ポンド/MWhとなった。一方、新規ガス火力発電所の建設・運営コストは1MWh当たり147ポンドとされており(注5)、着床式洋上風力発電の平均コストは前回入札時の2024年新規建設プロジェクトの82ポンド/MWhから上昇しているものの、新規ガス火力発電所のコストと比べて約40%低い水準とされている。これは、政府が秋季予算案で公表した平均的な1世帯当たりの年間エネルギー料金を約150ポンド削減する施策の反映だとされている(2025年12月2日記事参照)。
政府はクリーンエネルギー目標達成に向け、2030年までに少なくとも43GWの洋上風力発電を導入する方針。現在の洋上風力発電容量である16.6GWおよび建設段階の11.7GWに、今回AR7で確保された8.4GWを加えることで、目標達成は可能な水準にあるとされる。他方、2030年までに現在想定している規模で発電を稼働させることや送電網への接続を実現することは困難との指摘もある(「BBC」1月14日)。
(注1)発電事業者の投資リスクを減らすため、対象となる電源の固定価格(ストライクプライス)と市場価格の間の変動する差額を政府が補填(ほてん)する制度。市場価格がストライクプライスを上回る場合は、発電事業者が差額を支払う。
(注2)AR7における技術別の枠で、ポット3は着床式洋上風力発電、ポット4は浮体式洋上風力発電を指す(2025年12月23日記事参照)。
(注3)着床式洋上風力発電プロジェクト8.2GWと新型浮体式洋上風力192MW。
(注4)イングランド・ウェールズが91.20ポンド/MWh、スコットランドが89.49ポンド/MWh。
(注5)業界指標LCOE(均等化発電原価)に基づく数値。
(バリオ純枝)
(英国、ドイツ、米国)
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