アラブ諸国の2025年の失業率は9.5%と高いも、GCC諸国では2.5%

(中東、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール)

調査部中東アフリカ課

2026年01月22日

ILOが1月14日に発表した報告書「世界の雇用と社会の見通し、2026年の動向外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、2026年の世界の失業率は4.9%(1億8,600万人相当)で2025年から横ばいとなるという。2025年の世界の若年失業率は12.4%に微増し、約2億6,000万人の若者が仕事に就かず、教育・職業訓練も受けていない状態だとした。また、根強い男女差もあるという。

アラブ諸国の失業率は横ばい、GCC諸国では低い傾向

北アフリカを除くアラブ諸国・地域(注)の2025年の失業率は9.5%と世界よりも顕著に高かった。アラブ諸国の2025年の就業人数は6,150万人で、失業人数は640万人だった。失業率は2020年の11.2%からは改善したものの、2026年と2027年は9.5%と横ばいの予測だ。また、1日当たり4.2ドル以下の収入で暮らす貧困層は13.4%に上る。

同報告書では、アラブ諸国において、湾岸協力会議(GCC)諸国〔サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、カタール、バーレーン、オマーン〕と、その他の非GCC諸国では経済や雇用の状況が大きく異なると指摘した。2025年の失業率は、GCC諸国で2.5%のところ、非GCC諸国では16.3%だ。アラブ諸国ではインフォーマルセクター(非正規雇用など)の就業率は46.2%だったところ、GCC諸国では25.2%と低い。

なお、GCC諸国では、建設業やサービス業における移民労働者の雇用が、総雇用数の最大94%を占める国もある。GCC諸国では移民が多く、サウジラビアは移民が1,300万人(移民割合37.3%)、UAEでは843万人(同85.3%)だ(2024年5月20日記事参照)。

男女差や、AIとデジタル化に関する雇用格差も

アラブ諸国では、伝統的な固定観念などにより、就業状況に男女格差もある。GCC諸国では2025年の男性の労働参加率は86.7%のところ、女性は39.5%と差が大きいが、この男女格差は縮小を続けているという。一方、非GCC諸国では男女差がさらに顕著で、男性の労働参加率は66.1%のところ、女性は10.8%と約6分の1にとどまった。

報告書では、アラブ諸国におけるデジタル化と人工知能(AI)に関する雇用の恩恵はGCC諸国に集中する可能性が高いと指摘した。カタール、サウジアラビア、UAEなどのGCC諸国ではデジタル化とAIに関する国家開発戦略を立ち上げ、大規模な投資・インフラ整備・制度的枠組み整えている。一方、非GCC諸国は投資不足により、インターネット普及、デジタルインフラ、デジタル金融の利用などに課題があるという。

AI関連の雇用に関しては、他の高所得国・中所得国と同様、アラブ諸国においても女性が生成AIの生産性向上などを能力拡張効果として享受する可能性が高い一方で、自動化や職の代替リスクにも強くさらされるという。

なお、アフリカ全体の2025年の失業率は6.3%で、エジプトやモロッコなどのアラブ諸国を含む北アフリカでは9.9%だった(2026年1月22日記事参照)。

(注)バーレーン、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、オマーン、カタール、サウジアラビア、パレスチナ、シリア、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメンを含む。

(井澤壌士)

(中東、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール)

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