ベルリンで再び大規模停電、厳寒が追い打ち、重要インフラ保護に依然課題
(ドイツ)
調査部欧州課
2026年01月13日
ドイツのベルリン南西部のシュテーグリッツ=ツェーレンドルフ区で、1月3~7日に大規模停電が発生し、約4万5,000世帯と2,200の事業者が影響を受けた。停電時間は2025年9月の大規模停電を超え(2025年9月22日記事参照)、ベルリンで発生した停電としては、第二次世界大戦以降で最長となった。ベルリン・ブランデンブルク企業連盟(UVB)は企業の被害額を数百万ユーロ規模と推定している。原因は、同区内のリヒターフェルデ発電所付近の運河にかかる高圧線の火災。ベルリン州警察は放火とみている。極左過激派「ボルケーノグループ」(注1)を自称する集団が犯行声明を出し、化石燃料を用いる発電所や化石燃料産業への反対を表明している。
停電の影響は広範囲におよび、食料品店の閉鎖、モバイル回線のダウン、鉄道の運休、休校など市民生活に支障が出た。また、停電期間中のベルリンは低気圧の影響で雪が降り、最低気温は零度を下回るなど低温となった。現地メディア「rbb24」によると、停電により暖房が作動しない世帯も多く、避難所や暖を取れる場所が開設された。
経済界は重要インフラの保護強化を強調
今回の停電を受けて、ドイツ産業連盟(BDI)のホルガー・レッシュ副専務理事は、「ハイブリッド脅威や重要インフラに対する標的型攻撃は、すでに現実のものとなっている」とした上で、「政治家は増大する脅威に適切に対応することの緊急性を依然として過小評価している」と批判した。連邦内閣は2025年9月に、重要インフラ保護に関する連邦統一かつ分野横断的な基準を定める「KRITIS(注2)包括法」の法案を承認したが、同氏は同法案が現実の脅威に対応していないと指摘。ベルリン商工会議所のマーニャ・シュライナー事務総長は、「今、行動を起こさなければならない」と重要インフラのレジリエンス強化の必要性を強調した。経済界も危機対策チームに参加する必要があると述べ、「責任の押し付け合いでなく、ベルリンとその他の地域の教訓となることを考えるべき」とした。
連邦憲法擁護庁によると、ドイツでは2023年初頭から、気候危機の解決とインフラなどの破壊を結びつける「スイッチオフ」というキャンペーンが展開されており、関連する犯行は100件以上確認されている。建設車両、鉄道架線、通信・放送用電波塔、自動車販売店、林業機械、ケーブルダクトなどを標的とした破壊行為が報告されており、被害総額は数千万ユーロに上るという。
(注1)「ボルケーノグループ」は、2024年3月の東部ブランデンブルク州での米国電気自動車(EV)メーカーのテスラの工場への抗議を目的とした放火にも関与したとされる(2024年3月18日記事参照)。一方で、今回の停電後、同一名称を名乗る集団がここ数年の活動を否定する声明を発表しており、組織の全容は明らかでない。
(注2)KRITISはKritische Infrastrukturen(重要インフラ)の略。
(近藤慶太郎)
(ドイツ)
ビジネス短信 2d7b170722333e2c




閉じる
