2025年GDP成長率は前年比4.8%、AI関連需要が押し上げ

(シンガポール)

シンガポール発

2026年01月07日

シンガポール貿易産業省(MTI)は1月2日、2025年通年のGDP成長率が速報値(注)で前年比4.8%だったと発表した。これは前年(4.4%)を上回るとともに、MTIが11月21日に上方修正した同年の予測値「4.0%前後」も上回った(2025年12月1日記事参照)。

ローレンス・ウォン首相兼財務相は12月31日、2026年の新年に向けた国民へのメッセージで、国外の環境が変化する中でも、「2025年は予想を上回る力強い成長を達成した」と述べた。その理由について、人工知能(AI)関連の半導体や電子関連の需要が活況だったほか、想定以上に国際経済が底堅く、米国による関税措置の導入が遅れ、その範囲も限定的だったとした。ウォン首相は、「結果として失業率とインフレが低水準でとどまり、実質所得は全般的に上昇した」と述べた。MTIによると、2025年11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.2%上昇した。また、人材省が12月11日発表した最新雇用統計によると、2025年9月の失業率は2.0%にとどまった。さらに、同年第3四半期の国民(永住権者を含む)の月給中央値(注2)は、実質ベースで前年同期比4.2%増だった。

経済戦略見直し、近く提言を発表へ

ウォン首相は、「経済の競争力を維持するには、単に同じことを継続するだけでは不十分だ」と強調した。同首相は同国が直面する長期的な課題として、人口の高齢化と、AIなどエネルギー消費の多い産業を支えるための安定的なクリーンエネルギーの確保を挙げた。同首相はクリーンエネルギーについて、環境に優しい電力を輸入し、ASEAN域内の電力融通を推進する「ASEANパワーグリッド構想」の実現を長期的に目指すとともに、低炭素の水素や原子力発電を含む独自のソリューションを追求する方針を示した。

同国ではガン・キムヨン副首相兼貿易産業相が率いる政労使のタスクフォースが、長期的な経済戦略の見直しを行っている(2025年8月7日記事参照)。ウォン首相によると、タスクフォースが経済戦略の見直しの最初の提言を近く発表する。それを受けて、政府は2026年2月12日に発表予定の2026年度政府予算案で政府の対応を示す予定だ。

(注1)第4四半期の速報値は2025年10~11月の統計に基づく。MTIは2025年通年のGDP成長率の改定値を2026年2月に発表する予定。

(注2)雇用主負担の中央積立基金(CPF)を含む月給の2025年第3四半期の中央値は、6,429シンガポール・ドル(約78万円、Sドル、1Sドル=約122円)。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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