トランプ米政権、66の国際機関からの脱退を表明、WTOは対象に含まれず

(米国)

ニューヨーク発

2026年01月09日

米国のドナルド・トランプ大統領は1月7日、66の国際機関からの脱退または資金拠出の停止を指示する大統領覚書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

トランプ氏は2025年2月4日、国務長官に対して、米国の利益に反する組織・条約・協定を特定するよう指示する大統領令を発表しており(2025年2月6日記事参照)、今回の決定は同大統領令に基づいている。具体的には、米国の国益・安全保障・経済的繁栄・主権に反するとして、35の非国連機関と31の国連機関からの脱退や資金拠出停止を命じた。非国連機関は、気候変動対策や自然保護のほか、テロ対策、サイバーセキュリティー、芸術・文化などに関する広範な機関が対象となった。国連機関は、国連貿易開発会議(UNCTAD)、国際貿易センター(ITC)、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)などが対象となった。同日発表したファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、「米国の優先事項よりもグローバリズムの議題を推進する機関、あるいは重要な課題を非効率的・非効果的に扱う機関への米国納税者の資金提供と関与が終了する」として、「米国納税者の資金は他の方法でより適切に配分される」とその意義を強調した。

今回の大統領令を受け、マルコ・ルビオ国務長官は声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「多様性、公平性、包摂性(DEI)の義務化から、『ジェンダー平等』キャンペーン、気候変動正統主義に至るまで、多くの国際機関は今や、失墜した幻想に根ざしたグローバリストの計画に奉仕している」と痛烈に批判した。また、スコット・ベッセント財務長官は声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、UNFCCCからの脱退決定を受け、「米国が緑の気候基金(GCF、注1)から脱退し、GCF理事を直ちに辞任すると通知した」と明らかにした。同長官は、「わが国は、GCFのような『手頃で信頼性の高いエネルギーが経済成長と貧困削減に不可欠』という事実に反する目標を掲げる過激な組織に、もはや資金を提供しない」と続けた。

トランプ氏は政権発足以降、国際機関や国際条約からの離脱を相次いで発表している。2025年1月の就任初日にはパリ協定からの脱退を発表したほか(2025年1月22日記事参照、注2)、翌2月の大統領令では国連人権理事会(UNHRC)などから脱退した。今回の大統領覚書では、さらなる脱退を検討しているとして、対象拡大を示唆している。

なお、トランプ政権が継続的に批判してきたWTOは(2025年12月18日記事参照)、今回の対象に含まれなかった。米国はWTOへの資金拠出を一時停止していたとされているが(2025年9月3日記事参照)、現在は再開している、と報道されている(米通商専門誌「インサイドUSトレード」2026年1月7日)。

(注1)GCFは、UNFCCCおよびパリ協定の下に設置されている、開発途上国の温室効果ガス削減と気候変動の影響への対処を支援するための基金。

(注2)大統領令では、「離脱の通告をもって同協定からの離退が即時発効すると見なす」とされているが、協定上は、寄託者が離脱通知を受領した日から1年が経過した日以降に発効するとされており、2026年1月27日をもって正式に米国は離脱する予定。

(赤平大寿)

(米国)

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