11月の米小売売上高は前月比0.6%増で予想上回るも、消費格差は継続的に拡大
(米国)
ニューヨーク発
2026年01月20日
米国商務省の速報
(1月14日付)によると、2025年11月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.6%増の7,359億ドル(添付資料表参照)となり、ブルームバーグの市場予想(0.5%増)をやや上回った。なお、10月は同横ばい(速報値、2025年12月18日記事参照)から0.1%減に下方修正された。同統計は、政府閉鎖の影響(2025年11月14日記事参照)で当初予定されていた12月17日から発表が遅延していた。
自動車・同部品、ガソリンスタンドなどが押し上げ要因に
業種別にみると、13業種のうち10業種で増加するなど、幅広い分野で拡大した。特に自動車・同部品は、前月比1.0%増(プラス0.19ポイント)の1,387億ドルで、最大の押し上げ要因だった。電気自動車(EV)向け連邦税制優遇措置の期限切れに伴う10月の販売落ち込みからの反動や価格上昇が寄与した。また、ガソリン価格が上昇したことで、ガソリンスタンドの売上高が伸びた。そのほか、スポーツ・娯楽品・書籍(1.9%増)や、衣料(0.9%増)、無店舗小売り(0.4%増)など裁量品分野への支出はいずれも増加し、年末商戦の大型セール期間中に消費者がお買い得商品を求める動きが顕著に表れた。小売り統計で唯一のサービス項目のフードサービスは前月の0.1%減から0.6%増に回復し、堅調な伸びを示した。一方、家具(0.1%減)や家電(0.0%)などの耐久財は伸びていないが、これが商品の需要減速を示すものなのか、それともサイバーマンデーが12月に後ろ倒しになっていることによる買い控えが影響しているのかはもう少し様子を見る必要があるだろう。
小売り全体としては堅調さを感じさせる数値となっているが、米国の消費支出は富裕層に偏っており、バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズは、独自の消費者動向調査に基づき、高所得層と低所得層の間の消費支出の伸びの差が、2025年第4四半期を通じて大幅かつ継続的に拡大したと報告した。2024年後半から顕著となったこの二極化は、2025年を通じてさらに拡大した。特に生活必需品よりも嗜好(しこう)品などの裁量的支出において、二極化を象徴する「K字型」の傾向がより顕著に表れていると指摘した。全米小売業協会(NRF)は、こうした富裕層による消費の下支えによって、2025年の年末商戦期間(11~12月)の小売売上高は前年同期比4.1%増と底堅く推移し、NRFが予想(3.7~4.2%増)したレンジの上限に近いかたちとなった。
他方で、消費者マインドは前月より悪化しており、民間調査会社コンファレンスボードが12月23日に発表
した12月の消費者信頼感指数は89.1(11月:92.9)に減少し、5カ月連続の低下となった。内訳では、現在の雇用環境や経済状況を示す現況指数が116.8(11月:126.3)と大幅に減少した。また、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は70.7と前月と同水準となり、11カ月連続で景気後退の指標とされる80を下回った。
同社チーフエコノミストのダナ・ピーターソン氏は、「消費者の自由回答において、依然として物価上昇、関税、貿易政策、政治に対する懸念が継続している」と指摘した。ただし、「12月には移民問題、戦争、そして金利、税金と所得、銀行、保険といった個人の家計関連の話題に関する言及が増加した」とも付け加えた。
(樫葉さくら)
(米国)
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