米政府閉鎖は史上最長の43日間で終了、政府機関や航空便は徐々に復旧へ

(米国)

ニューヨーク発

2025年11月14日

米国では10月1日から連邦政府閉鎖に突入していたが、連邦議会下院は11月12日、上院が可決していたつなぎ予算案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2025年11月11日記事参照)を賛成222、反対209で可決し、同日にドナルド・トランプ大統領が署名した。これにより、史上最長となる43日間の政府閉鎖は終了し、農業、退役軍人・軍事建設、立法関連の歳出については2026会計年度末(2026年9月30日)まで、その他の歳出については2026年1月30日まで資金が供給される。これを受けて行政管理予算局(OMB)は2025年11月13日から政府職員に対して職場復帰するよう求めており、政府機能は徐々に復旧する見込みだ。航空便に関しても、デルタ航空のエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)が米国メディアで「運航システムは週末までに通常に戻る予定だ」と発言するなど、正常化に向かうとみられる。

今回の政府閉鎖に伴い、経済成長率は一時的に低下し、2025年第4四半期は1.5ポイント程度下押しされる見通し(注)。政府職員への給与は、職場復帰後に支払われるため、2026年第1四半期には反動増となる見込みだ。しかし、政府閉鎖中に実施された航空便のキャンセルや低所得者向けフードプログラム(SNAP)支給の遅延・削減による食品購入機会の逸失など一部に回復困難なものもあると見込まれている。また、ホワイトハウスは政府閉鎖中に発表されなかった消費者物価指数(CPI)などの経済統計の一部もしくは全体が公表されない可能性にも言及しており(ブルームバーグ2025年11月12日)、金融政策における重要な指標が欠損することで2025年12月に行われる次回の連邦公開市場委員会(FOMC)の判断に影響を及ぼす可能性もある。

(注)議会予算局(CBO)の試算PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によれば、6週間の政府閉鎖により第4四半期の実質GDP成長率は年率換算で1.5ポイント押し下げられるとされている。

(加藤翔一)

(米国)

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