雇用パスの月給基準を大幅引き上げ、6月1日から施行

(マレーシア)

クアラルンプール発

2026年01月29日

マレーシア内務省は1月14日、同省のX(旧Twitter)にメディアリリースを投稿し、外国人管理職・専門職向けの就労ビザである雇用パスの要件を変更すると発表した。2026年6月1日から施行される。雇用パスにはカテゴリーI~カテゴリーIIIがあり、それぞれ最低月額給与や雇用期間、家族帯同・メイド雇用の可否などの要件が規定されている(注)。今回の変更により、最低月額給与が2倍程度に引き上げられた。また、雇用パス期間の上限が規定されたほか、全カテゴリーで家族の帯同が可能となった。主なポイントは次のとおり。

〇最低月額給与

  • カテゴリーI:変更前1万リンギ(約39万2,000円、1リンギ=約39.2円)以上→変更後2万リンギ以上
  • カテゴリーII:5,000~9,999リンギ→1万~1万9,999リンギ
  • カテゴリーIII:3,000~4,999リンギ→5,000~9,999リンギ〔ただし、製造業および製造関連サービス(MRS)は7,000~9,999リンギ〕

〇雇用パス期間

従来、雇用パスはカテゴリーごとに雇用契約期間が規定されていたが、カテゴリーIとカテゴリーIIでは更新回数の上限や通算の最長雇用期間が規定されておらず、カテゴリーIIIのみ最大2回とされていた。今回の変更により、雇用パス期間として〔入国管理局外国人サービス部門(ESD)リリース参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕、次のとおり最長年数が設定された。

  • カテゴリーI:最長10年
  • カテゴリーII:最長10年(現地人材への引継ぎ計画が必要)
  • カテゴリーIII:最長5年(現地人材への引継ぎ計画が必要)

これにより、1人の駐在員が雇用パスの認可を取得できる最長期間が10年になったとみられる。雇用パスで10年以上マレーシアに滞在する日系企業関係者もいるところ、本政策については遡及(そきゅう)しないとされている(前記ESDリリースにある内務省発行のFAQ参照)が、詳細はガイドラインの発表が待たれる。

マレーシア内務省はメディアリリースにおいて、第13次マレーシア計画(2025年8月12日記事参照)で掲げる外国人労働力への依存を減らし、外国人より現地人材の採用を優先する方針に沿ったものと説明。また、雇用期間に一定の基準を設けることで、高い専門性でマレーシアに貢献し続けている外国人駐在員を評価するだけでなく、雇用主が体系的な現地化戦略を策定するための指針となること目指すとした。

今回の変更について、ジェトロのプラットフォームコーディネーター、竹ノ山千津子氏は、制度運用への影響を指摘する。同氏によると、従来はManaging Director(MD)といった役職であっても、給与額に応じてカテゴリーIIで申請することが可能であり、特段の問題はなかった。しかし、今回の変更でカテゴリーIIおよびIIIに現地人材への引き継ぎ計画の提出が求められることになり、カテゴリー区分が役職の序列と結び付いているようにみられるという。このため、今後は単純に給与額のみでカテゴリーを選択することが難しくなる可能性がある。さらに、マレーシア投資開発庁(MIDA)が認可するキーポスト(永久ポスト)について、役職の序列にかかわらずカテゴリーIに該当するのか、あるいは給与額によっては適用外となるのかなど、不明な点も多いとしている。

(注)詳細はジェトロ「マレーシア-外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用」を参照のこと。

(山口あづ希、ニサ・モハマド)

(マレーシア)

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