年4.5~5.5%のGDP成長目指す、第13次マレーシア計画発表
(マレーシア)
クアラルンプール発
2025年08月12日
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は7月31日、2026~2030年の中期国家計画「第13次マレーシア計画(13MP)」(8月7日現在、公式文書はマレー語のみ)を議会に提出した。アンワル首相は2023年、イスマイル・サブリ前政権下で策定された第12次計画(12MP:2021~2025年)の中間点検報告を発表していたが(2023年9月15日記事参照)、現政権下での中期計画策定は今回が初めてとなる。「開発の再構築」をテーマに掲げた。
13MPの対象期間の開発予算は4,300億リンギ(約15兆500億円、1リンギ=約35円)で、12MP(4,000億リンギ)から増額した。内訳では、経済分野向けが最大で52.8%(2,270億リンギ)を占める。
戦略分野の成長通じた経済強靭化目指す
アンワル首相は、2030年までのGDP成長率を第12次計画と同水準の年4.5~5.5%とする方針を掲げた。民間消費や投資など堅調な内需が背景にある。1人当たり国民総所得(GNI)は2030年には7万7,200リンギに引き上げ、13MP期間中の高所得国入りを目指したい考えだ。このほか、輸出成長率は年平均5.8%、インフレ率は年平均2.0~3.0%、財政赤字と政府債務の対GDP比をそれぞれ3%以下と60%以下とするなど、具体的な数値目標を掲げた。
MP13は「良好なガバナンス」「経済の強靭(きょうじん)化」「包括的かつ責任ある開発」を柱に、マダニ経済政策(2023年8月2日記事参照)とも連携しながら、国民の生活水準向上と経済構造の再構築を通じて、マレーシアの国際的地位向上を目指す。経済強靭化では、人工知能(AI)を基盤とした国家構築を推進すべく、同国をデジタル技術革新と「マレーシア国産」製品・サービスの生産拠点とする考えだ。
高所得国入りに向け、国内賃金底上げ
従業員報酬については、現行のGDP比33%から、2030年までに40%への引き上げを目指す。世帯平均月収は1万2,000リンギに引き上げ、絶対的貧困率は4.7%に引き下げる(注)。
国内賃金の底上げを主眼に、外国人労働者数を労働力人口の10%に抑制する数値目標も掲げた。12MP時は15%としていたが、最終的に2035年時点で5%まで低減させる。これに関連して、2025年中に予定していた外国人雇用比率に応じて税率を調整する多層型人頭税・最低賃金の導入を2026年に延期する。最低賃金は現在、全国一律で月1,700リンギとしているが、新卒者と半熟練労働者向けに最低賃金を別途設定することも検討する。
(注)マレーシア統計局によると、世帯平均月収と絶対的貧困率は2022年にそれぞれ、8,479リンギ、6.4%だった。
(吾郷伊都子、ニサ・モハマド)
(マレーシア)
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