2026年3月からモザンビークでのアルミニウム製造停止へ

(モザンビーク、南アフリカ共和国、オーストラリア)

マプト発

2025年12月24日

モザンビークのアルミニウム精錬企業モザールの筆頭株主であるオーストラリア資源大手サウス32は12月16日、モザールのアルミニウム製造を2026年3月15日ごろに停止すると発表した。サウス32のグラハム・カー最高経営責任者(CEO)は、停止の主な理由について、アルミニウム製造に必要な電力を、国際競争力を維持できる価格で確保できないことだと説明した。南アフリカ共和国の電力公社エスコムとの現行の電力供給契約が2026年3月に満了するため、サウス32はエスコム、モザンビークのカホラ・バッサ水力発電所(HCB)などと契約更新交渉を続けていたが、難航していた(2025年8月22日記事参照)。モザールは停止に向け、2025年12月から原料調達と製造スケジュールの調整を始める。

報道によると、モザールの操業停止は同社の従業員約1,000人の失業につながる可能性があり、モザンビーク経済団体連合会(CTA)のアルバロ・マシンゲ会長は、労働者の大量解雇や関連企業の倒産など深刻な経済的・社会的影響への懸念を示している(12月18日付「ドイチェ・ベレ」)。サウス32も従業員やサプライヤーへの影響を認めており、今後はモザンビークの労働法を順守したうえで従業員のリストラ手続きを進める。操業停止後の雇用は、施設の保守、警備要員など30人程度になるとしている。

モザンビークのアルミニウム製造の大半はモザールが担っており、製品は欧州などに輸出されている。同国の2024年のアルミニウム輸出額は、石炭、天然ガスに次ぐ第3位で12億8,700万ドル(構成比15.7%)だった(「モザンビークの貿易投資年報」参照)。

(松永篤)

(モザンビーク、南アフリカ共和国、オーストラリア)

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