モザンビークのアルミニウム精錬所への電力供給交渉が難航

(モザンビーク、南アフリカ共和国、オーストラリア)

マプト発

2025年08月22日

モザンビークのアルミニウム精錬企業モザールの筆頭株主のオーストラリア資源大手サウス32は8月14日、株主・投資家に向けた文書で、モザールの2026年の操業見通しが不透明なことを説明した。同文書によると、アルミニウム精錬に必要な電力の供給契約交渉が難航しており、現在有効な南アフリカ共和国の電力公社エスコムとの契約が切れる2026年3月以降の電力供給が確保できていないという。サウス32は契約更新に向け、エスコム、モザンビーク政府、カホラ・バッサ水力発電所(HCB)と協議を継続しているが、8月14日時点で供給量と価格の点で合意に至っていない。モザールに供給される電力は南アから輸入しているため、モザールはエスコムと契約関係にある。エスコムからの電力の一部はモザンビークのHCBで発電された電力が充当されているため(注)、モザンビーク政府とHCBが契約交渉に参加している。現地報道によると、同政府は電力供給元をエスコムからモザンビーク電力公社(EDM)に切り替えたい意向も持っている(8月15日付「オ・パイス」)。

サウス32の発表を受け、HCBのトマス・マトーラ取締役会長はモザンビークの全国紙「オ・パイス」の取材に応じ(8月15日付「オ・パイス」)、HCBの輸出電力価格は南アの生産者物価指数に連動して5年ごとに値上げ交渉を実施しているとし、その結果、モザール側の希望価格がHCBの「卸値」を下回っていることを認めた。電力供給量については、HCBが今後5、6年かけて発電機の改修を実施することを踏まえ、HCB単独ではモザールが必要とする電力量を供給できないことも明言した。

(注)カホラ・バッサ水力発電所(HCB)は、約1,400キロの送電線で南ア・エスコムのアポロ変電所と接続している。2022年にはHCBの総発電量1万5,754ギガワット時(GWh)の約59%に当たる9,258GWhがエスコムに販売された。

(松永篤)

(モザンビーク、南アフリカ共和国、オーストラリア)

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