ベトナムで真贋判定セミナー開催、模倣品対策の実施状況などを共有
(ベトナム、日本)
知的資産部戦略企画課
2025年12月25日
ジェトロが事務局を務める国際知的財産保護フォーラム(IIPPF、注1)は2025年12月12日、ベトナム・ハノイでジェトロ、日本国特許庁(JPO)、ベトナム国内市場管理・開発庁(DMS、注2)との共催で、DMS職員を対象とした真贋(しんがん)判定セミナーを開催した。IIPPFとDMSは2024年12月20日に、ベトナム市場における日本製品の模倣品摘発の迅速化、効率化の実現のためにMOUを締結し、協力を進めてきた(2025年1月9日記事参照)。
同セミナーはこのMOUに基づき開催され、在ベトナム日本大使館の石川勇次席公使らのあいさつで始まった。DMS長官チャン・フー・リン氏はプレゼンテーション、模倣品の実物展示により、模倣品対策の実施状況や真贋判定のポイントを共有した。日本企業3社(セイコーエプソン、第一三共ヘルスケア、パナソニックホールディングス)は自社の模倣品対策などについて講演した。DMS職員65人も参加した。
開会あいさつをするチャン・フー・リンDMS長官(ジェトロ撮影)
ベトナムは民間経済の活性化を重視しており、2025年にはイノベーション・知財施策に関する決議や法改正が数多く行われている(2025年9月1日記事、2025年9月8日記事参照)。このような政策的な後押しもあって国内市場が急激に成長している一方、オフラインだけでなくオンラインでの模倣品被害も拡大傾向にあり、ベトナムでの事業拡大を望む日本企業から知財保護、特にオンライン模倣品被害に対する対策の重要性が増しているとの声が近年上がっている。
こうした状況を背景に開催された同セミナーにおいて、リン長官は12月10日にベトナム国会で可決された電子商取引法(2026年7月1日施行予定)に言及し、ベトナムでのオンライン模倣品対策の強化に関する政府の最新の取り組み内容を紹介した。特に、電子商取引法の販売者の身元確認に関する規定に基づき、ベトナム電子身分証明・認証システム(VNeID)を用いた模倣品流通の追跡による市場の透明性の向上と、模倣品・知的財産侵害品の抑制を目指す点が強調された(注3)。
リン長官は日越間の継続的な情報共有を望み、今後もIIPPFとの連携を深め、日本の権利者の模倣品撲滅に貢献していくとした。
(注1)国際知的財産保護フォーラムは、2002年4月、模倣品・海賊版等の海外における知的財産権侵害問題の解決に意欲を有する企業・団体が業種横断的に集まり、産業界の意見を集約するとともに、我が国政府との連携を強化しつつ、国内外の政府機関等に対し一致協力して行動し、知的財産保護の促進に資することを目的として設立された。(国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)参照。)
(注2)DMSはベトナム国内市場の模倣品を摘発する権限を有する最も主要なエンフォースメント(執行)機関。オフライン・オンラインでの知財権を侵害する模倣品や市場での違法・不正商品の摘発などを所管している。
(注3)ベトナム商工省(Ministry of Industry and Trade of the Socialist Republic of Vietnam)「最新ニュース」
(2025年12月10日)
(迫佳沙音)
(ベトナム、日本)
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