タイ税関、フリーゾーンでのバッテリー式EV生産の現地調達要件を周知

(タイ)

バンコク発

2024年03月28日

タイ税関は2月1日、フリーゾーンおよびタイ工業団地公社(IEAT)フリーゾーン(FZ)で製造されたバッテリー式電気自動車(BEV)の国内販売にかかる関税免除基準と手続きを定めた税関告示第22/2566号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの運用にかかる情報をウェブサイト上で公開PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した(注1)。ジェトロのタイ工業省工業経済事務局(OIE)へのヒアリング(3月12日)によると、現在、タイで乗用車BEVの生産を実施・計画している中国系大手メーカーは全てFZ内企業のステータスを得ている、あるいは取得予定という(注2)。2023年11月から2024年1月にかけて、複数メーカーでBEVの現地生産が開始されたため、タイ税関が部品の現地調達要件などについて周知したとみられる。

上記告示で対象となるBEVは、FZで組み立てまたは製造され、2022年10月8日から2025年12月31日の間に国内販売のためにFZから搬出される乗用車、ピックアップトラック、商用車(10席以下)。

FZ搬出時に関税免除を受けるための現地調達(ローカルコンテント)要件は、現地生産またはASEAN加盟国産の原材料〔ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の対象となる原材料のFOB価格を現地調達額の計算に使用〕、輸入バッテリーセル、人件費、その他の実際の生産コスト、利益の合計額が工場出荷(EXW)価格の40%以上となること。バッテリーセルは輸入品でも、BEVのEXW価格の15%を上限として、CIF価格を現地調達率に加算できる。

国内販売にかかる関税免除の恩典を税関から受けるBEV は、OIEまたはその他の関連機関が定める「必須生産工程(Essential Production Processes)」(添付資料参照)をFZ内で経る必要がある。FZ内のBEVメーカーは、当該BEVが必須生産工程を経たことを自己証明する。BEVの製造に4工程以上の必須工程がある場合、最終工程以外の工程はFZ外で実施してもよい(ただし、半数以上の工程、最終工程はFZ内で行うこと)。FZ外の工程は、タイで登記された法人がタイ国内で実施しなければならない。

同関税免除の申請資格がある事業者は、FZ事業者またはFZからBEVを搬出する事業者で、かつ物品税局通達に基づくBEV支援措置の対象事業者に認定されている必要がある。また、申請者はFZから搬出されたBEVが所定の要件を満たしていることを証明できなければならない。FZからBEVを搬出する前に、税関から関税免除の承認を得ること。

(注1)公開された情報には、必須生産工程を経て調達が必要な現地原材料の適格性の証明、BEVをFZから搬出する前に行う関税免除申請・税関承認のプロセス、BEV製造に使用する原材料をFZ内に持ち込む手続き、承認済みBEV/承認待ちBEVの移送、国内販売・消費を目的としたBEVのFZからの搬出、FZ外での必須生産工程の実施申請、BEV免税の承認決定者(税関長)、記録保存要件(当該BEV搬出日から最低5年間、事業閉鎖の場合はさらに2年間)が含まれている。

(注2)中国系BEVメーカーは、FZのメリットに加えて、タイ投資委員会(BOI)やEV普及支援策「EV3.0」「EV3.5」(2023年12月27日記事参照)を併用しているケースが多い。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ)

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