ロシア中銀、政策金利を16%に引き下げ
(ロシア)
調査部欧州課
2025年12月24日
ロシア中央銀行は12月19日の金融政策決定会合で、主要政策金利(キーレート)を16.5%から16.0%に引き下げ、22日から適用した(添付資料図参照)。これで5会合連続の利下げとなった(2025年10月30日記事参照)。インフレの鈍化が進む一方、インフレ期待の上昇を踏まえ、当面は引き締めを維持する方針を示した。
中銀は10~11月平均の季節調整済みの物価上昇率が年率換算で4.6%となり、第3四半期の6.6%から低下したと指摘した。コア指標は平均4.3%で、第3四半期の4.1%から大きな変化はない。12月15日時点の年率インフレ率(年率)は5.8%で、年末時点でも6%を下回る見込み。足元では値動きの大きいガソリンや果物・野菜などの品目が、価格動向に影響している。
中銀のエリビラ・ナビウリナ総裁は19日の記者会見で、年明けには付加価値税(VAT)引き上げや公共料金の追加改定が物価を一時的に押し上げる可能性を指摘した。一方、一部の企業はVAT引き上げを見越した価格調整を始めており、年末の在庫処分の値引きが短期的なディスインフレ要因となる場合もあると述べた。
ロシア経済は過熱状態から徐々に正常な成長軌道に戻りつつある。経済活動全体の成長は緩やかに続いているが、業種間で動きにばらつきがある。内需は、家計所得の増加、貸し出しの拡大、政府支出によって支えられている。ナビウリナ総裁によると、10~12月の投資は業種間で差があり、過去数年に投資水準が高かった建設や運輸などで減速がみられる。
労働市場の逼迫は徐々に緩和しつつあり、人手不足を訴える企業の割合は低下傾向にある。失業率は歴史的低水準を維持し、賃金の伸びは依然として労働生産性の伸びを上回っている。
金融環境はやや緩和したが、引き締まった状態が続いている。貸出金利はこれまでの金利引き下げに沿って緩やかに低下した。個人向け貸し出しの伸びは緩やかだが、2025年下半期の企業向け貸出は上半期を上回る伸びをみせている。
ナビウリナ総裁は外部環境について、世界市況や制裁の影響のため主要輸出品の価格が予想を下回っているが、ルーブルは堅調に推移していると述べた。その背景には、適切な財政規律、高金利によるルーブル建て資産の魅力の高まりと輸入代替、国内生産支援といった構造要因が背景にある。
今後の見通しについて、中銀は2026年下半期のインフレ率が4%に収束し、通年で4.0~5.0%、2027年以降は目標水準の4%で安定すると予測している。
次回の金融政策決定会合は2026年2月13日に予定されている。
(小野塚信)
(ロシア)
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