ウクライナ復興会議がルーマニアで開催、3カ国間協力「オデーサ・トライアングル」の強化に力点

(ウクライナ、ルーマニア、モルドバ)

ワルシャワ発

2025年12月24日

ルーマニアのブカレストで12月11~12日、ウクライナ復興会議「ウクライナ復興〜安全保障、機会、投資(Rebuilding Ukraine: Security, Opportunities, Investment)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2025年12月19日記事参照)が開催された。11日に行われた会議では、特にウクライナ南部とルーマニアとの隣接地域における、インフラ・エネルギー・物流・地域協力などに焦点が当てられた。

ウクライナ、ルーマニア、モルドバは8月、3国間の協力フォーマットを「オデーサ・トライアングル」と名付け、地域安全保障やロシアのハイブリッド攻撃への対抗、共通の国境周辺地域における輸送インフラの整備をはじめとする幅広い分野での協力を確認した。これに先立つ7月30日、3国はロシアによるサイバー脅威への対抗を目的とした、サイバー同盟の設立に関する協議を行っていた。

会議の冒頭で基調講演を行ったルーマニアのオアナ=シルビア・ツォイウ外相は、2026年にオデーサ・トライアングルの会合をブカレストで開催することに触れ、同枠組みを通じてウクライナ、モルドバ両国と持続的な関係を構築していく必要がある」と述べた。

写真 ツォイウ外相による講演(ジェトロ撮影)

ツォイウ外相による講演(ジェトロ撮影)

続いてオンラインで基調講演を行ったウクライナのアンドリー・シビハ外相は、「黒海は沿岸国のみならず世界の食料安全保障やエネルギー供給を支えており、ロシアの影響下にあってはならない。黒海における同盟国のプレゼンスの拡大が、将来の安全保障に必要不可欠だ」と強調した。

3カ国間の戦略的接続性に関するパネルディスカッションでは、道路・橋・港湾・鉄道・国境検問所の整備などを通じた地域の接続性の強化が議論された。ウクライナとルーマニアは、EUの融資制度「欧州の安全保障行動(SAFE)」(2025年9月16日記事参照)を活用してA7・A8高速道路(注)を整備し、物流基盤を構築する。国際資金の調達が課題として挙げられ、米国、カナダ、スイス、日本といった国際ドナーとの協議の必要性が指摘された。

パネルディスカッションで司会を務めた新戦略センターのジョルジュ・スクタール最高経営責任者(CEO)にジェトロが話を聞いたところ、「ウクライナ復興において、ルーマニアが担っている役割を日本に知ってもらい、オデーサ・トライアングルに参加してもらいたい」と日本との多国間連携への期待を述べた。

(注)A7高速道路は、ウクライナとルーマニアを南北方面に、プロイエシュティ~パシュカニまでを結ぶ。A8高速道路は、ルーマニア中部のトゥルグ・ムレシュとモルドバに隣接するヤシを東西に結ぶ。

(遠山宗督)

(ウクライナ、ルーマニア、モルドバ)

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