モンゴル、改造内閣が発足、第1副首相兼経済開発相などが交代
(モンゴル)
北京発
2025年12月11日
モンゴルの与党・人民党は11月15日に行われた第31回党大会で、新党首にニャムオソル・オチラル第1副首相兼経済開発相を選出した(注1)。人民党内部では9月以降、後任の党首をめぐって、ゴンボジャブ・ザンダンシャタル首相とダシゼベグ・アマルバヤスガラン前国会議長の間で党内を二分する対立が表面化していた。
経緯として、ザンダンシャタル氏は9月30日に記者会見を開き、アマルバヤスガラン氏の関係企業が保有するタワントルゴイ炭鉱内のボルテーク鉱区の権益に関する不正疑惑を公表(注2)し、法務内務大臣にバトトゥムル・エンフバヤル議員を再任(注3)した。一方、アマルバヤスガラン氏は9月末から、内閣不信任案の提出に向けて国会内で議員署名活動を開始した。
その後、政府は10月以降数回にわたって前政権が国家機密にしていた石炭関連の秘密契約文書を公開し、石炭以外にも複数の疑惑を公開した。
10月17日には、国会本会議でアマルバヤスガラン氏の国会議長解任決議案が野党も含む賛成多数で可決された。また同日、ザンダンシャタル内閣の不信任案も可決されたが、同決議の際の手続きに憲法違反があった(注4)として、10月22日に憲法裁判所は内閣不信任を無効と判断したため、ザンダンシャタル氏は首相続投となった。
10月27日には、首都検察庁がアマルバヤスガラン氏を職権乱用、収賄、不当利得の罪で起訴したため、人民党幹部会は11月の党首選にアマルバヤスガラン氏を推薦しないと発表する一方、分裂した党内の和解に向けて動いた。
11月11日には、ザンダンシャタル氏は、党内の問題を国政に波及させないために党首選に立候補しない旨を表明した。加えて、内閣不信任に賛成したサインボヤン・アマルサイハン副首相(当時)を10月29日に解任し、11月12日にハスソーリ・ガンホヤグ議員を後任の副首相に任命した。
11月20日には、空席となっていた国会議長にオチラル党首が就任した。これに伴い、ザンダンシャタル氏は11月25日、オチラル氏の後任として第1副首相兼経済開発相にジャダンバ・エンフバヤル前食糧農牧業軽工業相を、食糧農牧業軽工業相にミャグマルスレン・バダムスレン議員をそれぞれ任命し、国会の承認を得た(11月25日時点の閣僚名簿は添付資料表を参照)。
(注1)人民党の党首選は、ロブサンナムスライ・オヨーンエルデネ党首の首相辞任(2025年7月7日記事参照)に伴うもので、人民党の内規によると、4年に一度(総選挙の翌年)党首選を行い、首相が党首を務めるとされている。9月27日深夜から28日未明にかけて人民党幹部会が開かれ、アマルバヤスガラン氏を次期党首に選任したが、決選投票での定足数や有効過半数などに疑義が生じたため、11月15日の党大会で再度党首選を行うことになっていた。
(注2)疑惑についてアマルバヤスガラン氏は否定した。
(注3)2023年10月5日から2024年7月10日まで法務内務相を務めていた。実際に国会で承認・宣誓を行って大臣に就任したのは10月24日。2023年11月には国会で石炭汚職(2023年7月6日記事参照)に関する公聴会の調査責任者を務めていた。
(注4)採決を行ったフレルバータル・ボルガントヤー副議長(人民党)は11月12日に解任され、後任の副議長にはジャダンバ・バトエルデネ議員(人民党)が同日就任した。
(藤井一範)
(モンゴル)
ビジネス短信 cd82ab0ec02ca461




閉じる
