山東省、AI端末に関するアクションプランを発表
(中国)
青島発
2025年12月18日
中国・山東省工業・情報化庁は12月17日、「AI端末イノベーション発展アクションプラン」(魯工信電子〔2025〕236号)
を発表した(文書は12月16日付)。同プランは、AI端末をAI技術の実用化における重要な担い手と位置づけ、AI端末産業のイノベーション力と競争力の向上を加速させ、山東省のAI産業の質の高い発展を支え、「新たな質の生産力」(注1)を育成強化することを目的としている。
同プランは、一般的な要求事項、重点分野、実施方法、保障措置の4つで構成されている。
一般的な要求事項では、2027年までに、全省のAI端末産業の中核的競争力を強化し、同産業の規模を4,500億元(約9兆9,000億円、1元=約22円)超に、重点製品の生産量を1億台超にそれぞれ引き上げ、同分野において国内トップレベルの競争力を有する大手企業、ニッチトップ企業(注2)、「専精特新」の「小巨人」企業(注3)をそれぞれ10社程度育成し、新規の電子製品や関連設備など100以上のイノベーション製品を生み出し、一流のAI端末産業集積区などを構築するとしている。
重点分野としては、(1)スマート家電、(2)VR(仮想現実)端末、(3)ウェアラブルデバイス、(4)スマートフォン、(5)インテリジェントコンピュータ、(6)産業用端末、(7)商業端末、(8)その他の端末の8分野を挙げている。
また、実施方法としては次の5分野15項目を挙げている。
1.自主イノベーション能力の向上:(1)ハイレベルなイノベーションプラットフォームの構築、(2)中核技術の研究開発の実施、(3)知的財産権と標準のポートフォリオの深化
2.育成産業の主体的な力:(1)企業の段階的育成体制の整備、(2)より多くの重要プロジェクトの推進、(3)特色ある産業クラスターの構築
3.市場の需要拡大:(1)イノベーション製品の強化、(2)ハイエンドブランドの育成、(3)応用シーンの拡充
4.産業エコシステムの整備:(1)産業チェーンの連携促進、(2)公共サービスレベルの向上、(3)セキュリティーに対する監督管理評価の強化
5.リソース最適化による支援:(1)財政、税制および金融面での支援強化、(2)人材育成の強化、(3)国内外企業・組織との交流協力の深化
(注1)中国中央電視台(CCTV)の解説によると、新しい質の生産力とは、技術の革命的なブレークスルー、生産要素のイノベーティブな配置、産業構造の深い転換・レベルアップにより生み出される先進的な生産力とされる。同概念は、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会、2025年10月27日記事参照)で採択された「国民経済と社会発展の第15次5カ年規画」の制定に関する共産党中央委員会による建議の重点分野として盛り込まれている(2025年10月31日記事参照)。
(注2)ニッチ市場での製品の生産技術や市場シェアがトップレベルにある企業。中国語では「単項冠軍企業」。
(注3)専門性を有し、精密な技術力を持ち、差別化され、革新的な有力中小企業。
(赤澤陽平)
(中国)
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