キルギスで制度改革後初の議会選挙実施

(キルギス)

タシケント発

2025年12月11日

キルギスで第8期ジョゴルク・ケネシュ(一院制議会)の選挙が11月30日に行われた。同国の選挙制度改革後、初の選挙となった。公式結果は12月14日まで発表されないが、新議会では前議会の議員が過半数を占めるとみられる。また制度改革によって、個々の政党の議会での影響力は若干低下すると予想されている。

中央選挙管理委員会の発表(12月1日)によると、投票率は36.9%で、国内の登録有権者429万人のうち、約160万人が投票した。

今回の選挙は、2025年6月の同国の憲法改正によって導入された新しい選挙制度に基づいて実施された。前回の第7期議会選挙は小選挙区比例代表並立制で実施された。54議席が比例代表制による各政党の得票を基に選出され、36議席が小選挙区制で選出された。これに対し今回の選挙では、議員定数の90人全員が30の選挙区から3人ずつ選出される形式となった。また、その中には少なくとも女性を1人含める要件が設けられた。加えて、投票所での投票用紙印刷や投票結果の自動集計など、選挙の透明性を高めるため、プロセスにも変更が加えられた。

当局によると、一連の選挙制度改革の目的は、政治腐敗への対抗と、選出された議員に対する国民からの信頼の向上とされる。サディル・ジャパロフ大統領自身、同国における3つの政治的混乱はすべて、大統領選挙や議会選挙をめぐる対立を背景に発生した、と指摘している。直近の大規模な抗議行動は2020年10月初旬、野党勢力が同年10月4日に実施された議会選挙結果の承認を拒否した際に発生した(2020年10月8日記事2020年10月14日記事参照)。

中央選挙管理委員会のウェブサイトに掲載された暫定選挙結果によると、90議席のうち50議席(55.6%)を前7期目の議員が占める見通しだ(「24.KG」11月30日)。ロイター通信(12月1日)は、ジャパロフ大統領の支持派が今回の選挙で圧勝したと報じた。

最終的な結果は、手作業による開票作業が終了した後に公表される。中央選挙管理委員会にジェトロがインタビューしたところ(12月3日)、選挙結果の確定は12月14日に実施される見通し。

政治評論家のガリア・イブラヒモワ氏は、比例代表制の廃止により、明確な政策や政治的所属のない約500人の候補者が争うこととなり、新議会は個々の政治家が集まったばらばらの集団となる可能性があると指摘していた。新議会における政党機構の役割は著しく低下し、2027年の大統領選挙を控えて、現職大統領の地位が強化されるとの見方を示していた(カーネギー財団、2025年11月25日)。

(ウラジミル・スタノフォフ)

(キルギス)

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