K-バッテリー戦略を発表、2030年までに世界シェア25%を目指す

(韓国)

ソウル発

2025年12月02日

韓国政府は11月28日、金民錫(キム・ミンソク)国務総理(首相)主宰の「第8回国家先端戦略産業委員会」を開催し、「K-バッテリー競争力強化策」を発表した。

二次電池は韓国にとって、カーボン・ニュートラルと未来のモビリティ産業を支える基盤技術だ。しかし、最近では電気自動車(EV)が需要不振に陥っていることに加え、中国製二次電池企業の台頭という課題にも直面している。このような背景を踏まえ、同強化策では、2030年までに二次電池の世界シェアを19%(2024年基準)から25%にまで引き上がることを目標に掲げ、次の3つの推進課題と具体的な政策を提示した。

(1)次世代バッテリー技術のリーダーシップ確保

  • 「2035二次電池産業技術ロードマップ」を2025年中に策定し、中長期的な観点で研究開発(R&D)の方向性と技術目標を提示
  • 次世代バッテリー技術開発のため2029年までに2,800億ウォン(約308億円、1ウォン=約0.11円)の予算を投入(注1)、次世代電池の早期商用化を支援(性能・安全性評価、国際標準化、特許戦略策定など)
  • 「国民成長ファンド」(注2)を活用した次世代電池の先導プロジェクトの推進(技術先導企業への投融資など)
  • LMFP(リン酸マンガン鉄リチウム)、LMR(リチウムマンガンリッチ)、ナトリウムなどの新しい普及型バッテリーに関する技術高度化支援

(2)二次電池素材・鉱物サプライチェーンの強化

  • 素材分野を中心とした韓国国内産業エコシステムの強化、経済安全保障上の高リスク品目の国産化支援
  • 「サプライチェーン安定化基金」(注3)を活用した投資支援の拡大
  • 重要鉱物の公的備蓄の拡大
  • 使用済みバッテリーの再資源化に向けた支援

(3)国内の生産基盤維持のための需要創出

  • EV需要喚起のための補助金拡大(内燃機関車からEVに乗り換える場合に最大100万ウォンの補助金追加など)
  • 各社のエネルギー貯蔵システム(ESS)用電池生産拡大計画を踏まえた国内ESS需要活性化(「ESS中央契約市場」の評価基準における産業競争力の反映、次世代電力網および系統安定化用ESSの構築推進など)
  • 防衛産業、ロボット、船舶など新規需要のためのR&Dおよび実証実験
  • 国内の生産基盤強化に向けた「バッテリー三角ベルト」(注4)の構築

(注1)全個体型・リチウム金属・リチウム硫黄など次世代産業技術開発に約1,824億ウォン、リチウム金属・リチウム空気・ナトリウムなど二次電池基盤技術開発に974億ウォン。

(注2)李在明(イ・ジェミョン)大統領が掲げる経済成長戦略の中で、「技術先導成長」を達成するために用意された基金(2025年8月27日記事参照)。

(注3)サプライチェーン安定化に貢献する企業を対象に、生産力強化や備蓄拡大などを支援するため、「経済安全保障のための供給網安定化支援基本法」により設置された基金(2023年12月13日記事参照)。

(注4)忠清圏をバッテリー製造(セル生産)、湖南圏を重要鉱物・正極材、嶺南圏を重要素材・未来需要と、地域と分野を特定し、国家先端戦略産業特化団地(2023年7月28日記事参照)に追加指定する予定。

(橋爪直輝)

(韓国)

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