経済安全保障の強化に向け「供給網基本法」が議決

(韓国)

ソウル発

2023年12月13日

「経済安全保障のための供給網安定化支援基本法案」(以下、「供給網基本法」)が12月8日、韓国国会の本会議で議決された。供給網基本法が成立したことで、同法と「素材・部品・装置産業の競争力強化および供給網安定化のための特別措置法」(2023年6月25日)、「国家資源安全保障特別法」(国会法制司法委員会で係留中)からなる「サプライチェーン3法」のうち2つの立法が完了した(2023年11月15日付地域・分析レポート参照)。

供給網基本法の主な内容は、次の3点。

  1. コントロールタワーの新設など全政府を挙げたサプライチェーン管理体制の構築:供給網安定化委員会(注1)を設置し、サプライチェーン管理を全政府レベルの体制として拡大・強化する。
  2. サプライチェーンリスク管理システムの確立:経済安全保障品目の指定(注2)、早期警報システムの運営、危機管理マニュアルの運営、危機対策本部の設置などを行う。
  3. サプライチェーン安定化基金の設立:韓国輸出入銀行に供給網安定化基金(注3)を設立し、サプライチェーン安定化に貢献する企業を対象に、生産力強化や備蓄拡大などを支援する。

供給網基本法の議決を受け、企画財政部は、法が施行される2024年6月までに下位の規程づくりや基金設立などを終えるとともに、「サプライチェーン3法」のうち国会法制司法委員会で係留中の「国家資源安全保障特別法」の早急な成立に向けて、国会に協力を要請した。

(注1)所管は企画財政部。委員会の構成員は、政府委員(委員長は企画財政部長官)、外部専門家など計25人。

(注2)国および国家経済の安定的運営に不可欠な物資、原材料などを所管官庁が供給網安定化委員会の審議を経て経済安全保障品目として指定。

(注3)政府保証の供給網基金債権を発行して組成、基金規模は後日確定。

(橋爪直輝)

(韓国)

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