デリー首都圏の大気汚染対策、適用措置を最も深刻な「ステージ4」に引き上げ
(インド)
ニューデリー発
2025年12月23日
インドのデリー首都圏・周辺地域の大気汚染対策を所管する大気質管理局(CAQM)は12月13日、デリーにおける空気質指数(AQI)の悪化に伴い、「行動計画(GRAP、2025年11月改定)
」で最も深刻なステージ4(AQI450超)に引き上げると発表
した。同日、ステージ3(AQI401~450)の適用を発表したばかりだった
が、急激なAQIの悪化に伴い、短時間での対策強化に踏み切った。
CAQMは、11月11日にステージ3の適用、さらに11月26日にはステージ2への引き下げを発表していた(2025年12月4日記事参照)。ステージ4
の措置は、ステージ3における措置に加え、次のとおり。
〇ステージ4(AQI450超)の措置
- トラック(ガス・電動車両以外)のデリー準州への入境禁止(注1)
- BS-IV基準(注2)以下の大型商用車(ディーゼル車両)のデリー準州内での通行禁止
- 建設工事の停止(公共施設、医療施設の建設工事を除く)
- 学校でのハイブリッド授業への移行(注3)
- そのほか、教育機関、商業活動の閉鎖、車両の走行許可発出など緊急的追加措置も可能
GRAPのステージ3の措置には、各州政府の判断により、公的機関、地方自治体、民間企業のオフィス従業員の在宅勤務が推奨される(2025年12月4日記事参照)。これに倣い、デリー準州政府(GNCTD)は12月17日、オフィス従業員の在宅勤務推進を図る通達を発出し、州内の全ての民間企業に対して、出勤率を最大50%までとすることや、時差勤務の導入、車通勤の抑制を要請した(添付資料参照)。ただし、病院、消防や公共交通機関などのサービス事業者は、同措置の対象外としている。
12月15日のデリー市内の様子(ジェトロ撮影)
(注1)ただし、生活必需品の運搬やエッセンシャルサービスの提供をする場合を除く。
(注2)インド国内の自動車排出ガス規制BS(バーラト・ステージ)は、EUによる同種規制を基にしており、走行規制対象となる車両は、古い排ガス規制基準を基にしたガソリン(BS-III)、ディーゼル(BS-IV)の乗用車。BS-IIIは2005年以降、BS-IVは2010年以降に順次導入した。現行の最新基準のBS-VIは2018年以降に導入。
(注3)執行の決定権限は各州政府に委ねられている。
(佐藤利昭、サンディープ・シン)
(インド)
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