デリー首都圏における大気汚染対策の行動計画(GRAP)が改定

(インド)

ニューデリー発

2025年12月04日

インドのデリー首都圏(NCR)と周辺地域の大気汚染対策を所管する大気質管理局(CAQM)は11月21日、大気汚染の度合いに応じて段階的な対策措置を示した「行動計画(GRAP、2025年11月改定)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の規制強化を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。主な改定内容としては、従前のGRAPでは大気汚染レベルの上位ステージで課されていた措置の一部について、それぞれ1つ下位のステージでの実施が求められる内容となっている。

CAQMは11月11日、デリーの空気質指数(AQI)悪化を受け、10月19日から課してきたステージ2(AQI301~400)の適用(2025年11月10日記事参照)を見直し、ステージ3(AQI400超)の各種措置を適用する通達外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出していた(11月26日にステージ2に引き下げ)。新しい行動計画(GRAP、2025年11月改定)におけるステージ3の主な措置は、ステージ2PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(AQI301~400)の各種措置に加え、次のとおり。

ステージ3PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(AQI401~450)の措置

  • デリー準州内とハリヤナ州グルグラム(旧グルガオン)を含む特定地区で、対象車両(注1)の走行規制
  • BS-IV基準(注2)以下の中型貨物車のデリー内での走行規制(注3)
  • デリー以外で登録されたBS-IV基準以下のディーゼルの小型商用車について、デリーへの乗り入れ禁止(注3)
  • 建設工事の停止(公共施設、医療施設の建設工事を除く)
  • デリー準州内で砕石や鉱業関連事業の停止
  • 公的機関、地方自治体、民間企業のオフィス従業員の在宅勤務を推進し、出勤率を最大50%とする(注4)

上記措置のうち、在宅勤務の推進に関しては各州政府に最終決定が委ねられているところ、デリー準州政府(GNCTD)は11月24日、改定後のGRAPのステージ3の措置に基づき、オフィス従業員の在宅勤務推進を図る通達を発出した(ステージ2への引き下げに伴い11月26日に解除)。行政機関においては、出勤率を最大50%に抑えつつ、必須かつ緊急の公共サービスの提供のためであれば、必要に応じて在宅勤務中の職員を出社させることができるとした。また、州内の民間企業に対しても、在宅勤務の推進に加え、時差出勤や車通勤の抑制を求めた。

(注1)インド国内の自動車排出ガス規制BS(バーラト・ステージ)は、EUによる同種規制を基にしており、走行規制対象となる車両は、古い排ガス規制基準を基にしたガソリン(BS-III)、ディーゼル(BS-IV)の乗用車。

(注2)BS-IIIは2005年以降、BS-IVは2010年以降に順次導入した。現行の最新基準のBS-VIは2018年以降に導入。

(注3)生活必需品の運搬やエッセンシャルサービスの提供をする場合を除く。

(注4)執行の決定権限は各州政府に委ねられている。

(佐藤利昭、サンディープ・シン)

(インド)

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