英国とオランダが資金拠出見合わせも天然ガス開発は継続の見通し

(モザンビーク、英国、オランダ)

マプト発

2025年12月16日

英国輸出信用保証局(UKEF)およびオランダ公的輸出信用保険機関アトラディウス・ダッチ・ステート・ビジネス(ADSB)は、2020年に締結されたモザンビーク北部エリア1天然ガス開発プロジェクトへの国際協調融資(2020年7月30日記事参照)に不参加となった。UKEFのプロジェクトファイナンスへの参加見合わせ決定は、2025年12月1日に英国のピーター・カイル・ビジネス・通商相による同国議会に向けた答弁書で公開された。決定の具体的な理由は示されなかったものの、2020年以降、同プロジェクトのリスクが増加しており、英国納税者の利益を最優先に検討した結果だと説明した。これに先立つ11月27日、オランダ財務省は天然ガスプロジェクトコンソーシアム筆頭のトタルエナジーズからの取り下げ要請に基づき、ADSBの参加見合わせを決定した。

トタルエナジーズは12月2日のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、UKEFとADSBの協調融資への参加なしにプロジェクトを進めることがコンソーシアム内で決定されたと発表した。プレスリリースによると、協調融資には輸出信用機関や商業銀行を含む約30の金融機関が参加しており、総額は154億ドルとなる。UKEFとADSBの拠出分はそのうち10%に相当するとしており、その分はコンソーシアムの追加出資により賄われる見込みだ。報道によると、資金調達面でのインパクトはUKEFからの融資と輸出保険を合わせ11億5,000万ドル、ADSBからの11億ドルの輸出保険となる(12月1日付「ロイター」)。

ADSBが不参加となった背景の1つに、プロジェクト地域の治安維持(2021年4月20日記事参照)のために展開しているモザンビーク政府軍が地域住民に人権侵害を行った疑惑があり、オランダ政府がそれを懸念している点があるとみられる。同政府は、シンクタンクとリスクコンサルティング会社に調査を依頼していた。トタルエナジーズは、この疑惑に関連する報道機関からの問い合わせへの対応状況を、自社のサイトの投資家向け情報関連ページで外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます開示している。

(松永篤)

(モザンビーク、英国、オランダ)

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