COP30、ドイツは資金拠出で積極姿勢も、化石燃料脱却合意なく課題残す

(ドイツ、ブラジル)

ベルリン発

2025年12月04日

ドイツ連邦政府は、ブラジル・ベレンで11月10~22日に開催された国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)において、新規拠出や既存施策の継続により、国際的な気候保護枠組みへの関与を強化する姿勢を示した。

11月17日にドイツ政府は、適応基金(AF)へ6,000万ユーロの追加拠出を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同基金は、開発途上国の気候変動適応に向けたプロジェクトへ資金提供する枠組み。2007年の基金設立以来、基金総額約20億ドルの資金提供を受けており、ドイツは累積で最大の拠出国で、これまでに約6億1,000万ユーロを拠出している。カーステン・シュナイダー連邦環境・気候保護・自然保護・原子力安全相は、「多くの国々は、国際協力に依存しながら気候変動への適応を成功させている。ドイツは長年にわたり本分野において信頼を得てきたところ、さらなる信頼を築き、ベレンでの共同解決策の模索に弾みがつけられることを願っている」と述べた。

11月21日には、ブラジルが提唱した森林保護を目的とした基金「熱帯林フォーエバー・ファシリティー(TFFF)」(2025年11月13日記事参照)に、今後10年間で総額10億ユーロを拠出することも発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。リーム・アラバリ=ラドバン連邦経済協力・開発相は、熱帯雨林は地球の緑の肺であり、気候変動は国境で止まることはないとし、「地球の気候、世界の生物多様性の保全、ひいてはドイツと欧州の繁栄の基盤となるもの」と本基金の方向性に賛同を示した。

フリードリヒ・メルツ首相は、会議に先立ちベレンで開催された各国政府首脳による世界気候リーダーズサミットに参加した。メルツ首相は演説で、気候変動を食い止めるため、イノベーションとテクノロジーに焦点を当てると述べ、二酸化炭素(CO2)の回収・貯留に関するCO2貯留法を改正(2025年12月4日記事参照)したことや、ドイツ製のクリーンテックはドイツの輸出の8%以上を占めていることなどを紹介した。

ドイツ政府は、COP30の閉幕を受け総括外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。TFFF創設を成果の1つとしつつも、化石燃料からの脱却について合意に至らなかったことを挙げ、EU諸国を含む多くの国々がその重要性を強調したにもかかわらず、特に石油産出国やその他の大国が自らの行動に制限を課すことを望んでいないとした。公共放送ZDFも、COP30は大きな進展もなく終了した、と報じ、最小限の妥協案はまとまったものの、化石燃料からの脱却は未解決のままと伝えた。

(中山裕貴)

(ドイツ、ブラジル)

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