CO2の回収・貯留、改正法が発効
(ドイツ)
デュッセルドルフ発
2025年12月04日
二酸化炭素(CO2)貯留法(KSpG)の改正法案がドイツ連邦議会(下院)および連邦参議院(上院)で承認され、11月28日に発効した(プレスリリース
、ドイツ語)。この改正により、これまで研究目的のみに限られていたCO2の回収・貯蔵(CCS)が今後、産業分野でも利用可能となる。また、CCSにかかるCO2輸送のためのパイプライン整備のほか、海底(大陸棚および排他的経済水域内)での貯留施設建設を認める条項が改正案には盛り込まれている。一方で、海洋保護区ならびに沿岸海域での貯留は認められず、陸地部での地下貯留については関係する州政府がこれを認める旨を定める場合のみ可能となる。なお、石炭火力発電から排出されるCO2は対象外。
連邦政府は、化学、セメントといった温室効果ガス(GHG)の排出削減が困難な産業においてCCSの活用が不可欠であることを認めている。同改正法は、2024年に策定された「炭素管理戦略」に基づくもの(2024年3月8日記事参照)。ドイツは2045年までにGHG排出を実質ゼロにするという気候中立を達成することを目標としており、CO2の回収・貯蔵が企業の競争力を維持しつつ目標達成するための唯一の手段としている。
カテリナ・ライヒェ経済・エネルギー相は本改正法に対して、「ドイツの産業の未来に向けた重要な一歩となる」と述べ、気候保護とドイツの産業競争力維持、強化を両立する手段としてのCCSに意欲を見せた。
(マリナ・プタキドウ、櫻澤健吾)
(ドイツ)
ビジネス短信 b0527a20097518c8




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